The Noble Qur'an Encyclopedia
Towards providing reliable exegeses and translations of the meanings of the Noble Qur'an in the world languagesHud [Hud] - Japanese translation - Saeed Sato
Surah Hud [Hud] Ayah 123 Location Maccah Number 11
アリフ・ラーム・ラー[1]。(これは)そのアーヤ*が完全に仕上げられ、それから解明された、英知あふれる*お方、通暁されたお方の御許からの啓典である。
あなた方が、アッラー*以外のいかなるものも崇拝*しないように、との。(ムハンマド*よ、人々に言え。)「本当に私はあなた方への、かれ(アッラー*)からの警告者、吉報を伝える者[1]である」。
また、あなた方の主*に(罪の)お赦しを乞い、それからかれに悔悟せよ、との。(そうすれば、)かれは定められた期限まで、あなた方を善き楽しみで楽しませて下さり、あらゆる徳の持ち主には、その徳をお授け下さろう[1]。もし、彼らが(あなたが誘うものから)背き去るのであれば、(言うのだ、)「本当に私は、あなた方に対し、大いなる(復活の*)日の懲罰を怖れている」。
アッラー*にこそ、あなた方の帰り所がある。そしてかれは、あらゆることがお出来なお方。
本当に彼ら(シルク*の徒)は、かれ[1]から(心の内を)隠そうとして、身をかがめているではないか。彼らがその衣服ですっぽり身を覆う時でも、かれ(アッラー*)は彼らの秘密にすることも、露わにすることもご存知なのではないか。本当にかれは、胸中にあるものを(全て)ご存知になるお方なのだから。
地上を歩くいかなる生き物でも、その糧がアッラー*に委ねられていないものはない。またかれは、それらの定住地と収容地[1]をご存知である。全ては、明白なる書[2]の中に(予め定められて)あるのだから。
また、かれ(アッラー*)は、あなた方の誰が最も行いが善いか、あなた方を試されるため、諸天と大地を六日間で創造された[1]お方ーー(その時、)かれの御座[2]は水の上にあったーー。(使徒*よ、)もしもあなたが彼ら(シルク*の徒)に、「本当にあなた方は死後、蘇らされる身の上なのだ」と言ったならば、不信仰に陥った者*たちは必ずや(こう)言う。「これ(クルアーン*)は、紛れもない魔術に外ならない」。
そして、もしもわれら*が彼ら(シルク*の徒)に、決められた時期まで懲罰を遅らせてやったならば、彼らは必ずや(こう)言う。「(懲罰が真実なら、)何がそれ(が到来するの)を妨げているのか?[1]」見よ、それ(懲罰)が彼らに到来する日、それが彼らから逸らされることはなく、自分たちが嘲笑していたもの(懲罰)が彼らを包囲することになるのだ。
また、もしもわれら*が人間に、われら*の御許からの慈悲[1]を(一旦)味わわせてやり、その後に彼からそれを奪い取ってしまったならば、本当に彼は必ず、(アッラー*のご慈悲に対して)失意の念激しい者、(かれの恩恵に対する)大層な恩知らずになる。
そして、もしもわれら*が、彼に降りかかった害悪の後、恩恵[1]を味わわせたならば、彼は必ずや(こう)言うであろう。「悪事は、私から去って行ったぞ[2]」。本当に彼はまさしく、(恩恵に)有頂天な者、(他人に対して)高慢ちきな者である。
但し、忍耐*して正しい行い*を行う者たちは、別である。それらの者たち、彼らには(罪の)お赦しと、大いなる褒美がある。
(使徒*よ、)あなたは、彼らが「どうして彼(ムハンマド*)に、財宝が下されなかったのか?あるいは、彼と共に(、彼が使徒*であることを証明する)天使*[1]がやって来なかったのか?[2]」と言うこと(を恐れるが)ゆえに、あなたに啓示されるものの一部を放棄しようとしたり[3]、それゆえに心苦しくなったりするかもしれない。(彼らの言うことは気にするな、)あなたは(啓示を伝えるだけの)警告者に過ぎず、アッラー*は全ての物事を請け負われる*お方なのだから。
いや、一体、彼ら(シルク*の徒)は、「彼(ムハンマド*)が、それ(クルアーン*)を捏造したのだ」。と言うのか?言ってやれ。「では、それと同様の、捏造された十のスーラ*を(創作して)持って来てみよ[1]。そして、あなた方がアッラー*以外に(それを頼むことが)出来る(あらゆる)者を呼んで(手伝わせて)みるがよい。もし、あなた方が本当のことを言っているのならば。
それで、もし彼らがあなた方に応じなかったなら、知るがよい。それ(クルアーン*)が実にアッラー*の御知識と共に下され、かれ(アッラー*)以外には(真に)崇拝*すべきものがないということを。ならば一体、あなた方は服従する者(ムスリム*)であるか?[1]
誰であろうと、現世の生活とその飾りが欲しい者、われら*は彼らにそこで、その行い(の報い)を余すことなく与えてやろう。そして彼らがそこで、(行為の報いを)減じられることはないのだ。[1]
それらの者たちは、来世では業火の外に、何もない者たち。彼らがそこ(現世)で成したことは台無しとなるのであり、彼らが行っていたことは、まさしく無意味なのだ。
また一体、自分の主*からの明証に依拠していた者[1]は(、現世のみを欲していた者と同様であろうか)?そして、かれ(アッラー*)の御許からの証人[2]と、それ以前に(信仰者への)指針と慈悲であったムーサー*の啓典[3]が、それ(明証)に次ぐのである。それらの者たちが、それ(クルアーン*)を信じるのだ。そして(預言者*に敵対する)党派の内、それ(クルアーン*)を否定した者は誰でも、業火がその約束の地となる。ならば、(使徒*よ、)あなた[4]は、それを疑わしく思う者となってはならない。本当にそれは、あなたの主*からの真実なのだから。だが、人々の大半は信じない。
アッラー*に対して嘘を捏造した者よりも、ひどい不正*を働く者がいようか?それらの者たちは(復活の日*、自らの行いに対する清算のため、)自分たちの主*に差し出される。そして証人[1]たちは言うのだ。「この者たちが(現世で)、自分たちの主*に対して嘘を言った者たちです」。不正*者たちには、アッラー*の呪い[2]があるのではないか。
(彼らは、自分たちと人々を)アッラー*の道から阻み、それ(その道)を捻じ曲げることを望む者たち。そして彼らこそは、まさしく来世を否定する者たちなのである。
それらの者たちは、地上で(アッラー*の懲罰から)逃れられる者ではなかったのであり、彼らにはアッラー*の外に、(自分たちを守ってくれる)いかなる庇護者もなかったのだ。彼らには(地獄で、)懲罰が倍増される。彼らは聞くことも出来なければ、見ることもなかったのだ[1]。
それらの者たちは自らを損ねた者たちであり、彼らが(執り成し手[1]として)でっち上げていたものは、彼らから消え去ってしまったのだ。
間違いなく、彼らこそは来世において、最大の損失者である。
本当に、信仰し、正しい行い*を行い、自分たちの主*に謹んで従う[1]者たち、それらの者たちは天国の徒。彼らはそこに、永遠にと留まる。
その二つの集団(不信仰者*と信仰者)の状況は、盲人と聾、見える者と聞こえる者[1]のようである。それら(二つの集団)は、その状況において同等だろうか?一体、彼らは教訓を得ないのか?
われら*は確かに、ヌーフ*をその民に遣わした。(彼は、民に言った。)「本当に私はあなた方への、明白なる警告者である。
(私はあなた方に、)アッラー*以外のものを崇拝*してはならない(、と命じる)。本当に私は、あなた方に、痛烈な日の懲罰を怖れているのだから」。
すると彼の民の内の、不信仰だった有力者たちは言った。「私たちは、あなたが私たちと同様の人間としか思わないし、あなたに短絡的に[1]従ったのは、私たちの内でもまさに最底辺の者たちとしか思わない。また私たちに対して、あなた方に特に優れた点があるとも思えない。いや、私たちはあなた方が嘘つきだと確信しているのだ」。
彼(ヌーフ*)は、言った。「我が民よ、言ってみよ。私が、我が主*からの明証[1]に依拠し、その御許からのご慈悲[2]を授かっているにも関わらず、(自分たちの無知と偽りゆえに、そのご慈悲が)あなた方に見えないのであれば、一体私たちはそれをあなた方に(無理矢理)押しつけることが出来ようか?あなた方はそれを、嫌っているというのに?
我が民よ、私は、それ[1]ゆえにあなた方にお金を要求しているのではない。私の見返りは、全創造物の主*から以外にはないのだから。また私は、信仰する者たちを追い出す者ではない[2]。本当に彼らは(復活の日*)、彼らの主*と拝謁する身の上[3]なのだから。しかし私は、あなた方が無知な民であると思う。
我が民よ、一体、誰が私をアッラー*(の懲罰)から助けてくれるのか?もし私が、彼ら(信仰者たち)を追い出したりしたら?一体、あなた方は教訓を得ないのか?
また私はあなた方に、自分にはアッラー*の(数々の)宝庫があるなどとは言っていないし、不可視の世界*も知らないし[1]、自分は天使*だとも言ってはいない。また、あなた方が見下している者たちに対し、アッラー*は彼らに善きもの[2]をお授けにはならない、とも言わない。アッラー*が彼らの胸中を、最もよくご存知なのだ。本当に私は、そうすれば[3]、まさに不正*者の仲間となってしまうのだから」。
彼ら(不信仰者*たち)は、言った。「ヌーフ*よ、あなたは私たちと論争し、私たちとやたら論争した。では、あなたが私たちに約束するもの(懲罰)を、私たちにもたらしてみよ。もし、あなたが本当のことを言っているのであれば」。
彼(ヌーフ*)は、言った。「(外ならぬ)アッラー*こそが、それ(懲罰)をあなた方にもたらされるのだーーもし、かれがお望みになればーー。あなた方は、(それから)逃れられる者ではない。
また私の忠告は、あなた方の役には立たない。もしアッラー*が、(あなた方が真理を拒否したことゆえ、)あなた方を逸脱させることをお望みならば、たとえ私があなた方への忠告を望んだとしても。かれがあなた方の主*なのであり、かれにこそ、あなた方は戻らされるのだから」。
いや、一体、彼らは「彼がそれ[1]を捏造したのだ」と言うのか?言ってやれ。「もし私がそれを捏造したのなら、私(のみ)に我が罪がある。そして私は、あなた方の犯しているもの(不信仰)から無縁なのだ」。
そしてヌーフ*に、啓示された。既に信仰した者の外、あなたの民の内から(誰一人)信仰することはない、と。ならば彼らがしていたことで、悲嘆に暮れるのではない。
また、われら*の眼差しのもと[1]、われら*の啓示によって[2]船を造り、(不信仰という)不正*を働いた者たち(の懲罰の延期を求めること)について、われに話しかけるのではない。実に彼らは、溺れさせられる者たちなのだから。
彼の民の有力者らが彼のもとを通りかかるたび、彼を嘲笑する中、彼は船を造る。彼(ヌーフ*)は言った。「あなた方が私たちを嘲笑しても、実に私たちは(いずれ)、あなた方が私たちを嘲笑しているように、あなた方を嘲笑するのだ。
それであなた方はやがて、知ることとなろう。誰に辱めの懲罰が到来し、(来世においては)永続の懲罰が襲いかかることになるかを」。
ついに(不信仰者*を滅亡させる)われら*の命令が到来し、焼き窯が噴出した[1]時、われら*は(ヌーフ*)に言った。「それ(船)に、全て(の生き物)から一つがいずつと、あなたの家族と信仰した者を、そこに乗り込ませよ。但し、既に(懲罰の)言葉が定められた者[2]は別である」。そして僅かな者たちだけしか、彼と共に信仰しなかった。
彼(ヌーフ*)は、(信仰者たちに)言った。「それに乗り込むのだ。その航行と停泊は、アッラー*の御名において。本当に我が主*はまさしく、赦し深いお方、慈愛深い*お方」。
船は彼らを乗せて、山々のような波の中を走った。そしてヌーフ*は、自分の息子を呼んだーー彼は、(信仰者たちから)遠い場所[1]にいたのだーー。(ヌーフ*は言った。)「我が息子よ、私たちと一緒に(船に)乗れ!不信仰者*たちと一緒にいるのではない!」
彼(息子)は言った。「私は、水から自分を守ってくれる山に、避難します」。彼(ヌーフ*)は言った。「この日アッラー*のご命令から守ってくれるものは、何一つない。但し、かれがご慈悲をかけて下さ(り、信仰して船に乗)った者は、別だが」。そして二人の間を波が阻み、彼(息子)は溺れ死んだ者たちの一人となった。
そして(、こう)言われた[1]。「大地よ、あなたの水を呑み込み、天よ、(雨を)止めよ」。そして水は引き、(不信仰者たちの滅亡という)ご命令は成就され、それ(船)はアル=ジューディー[2]の上で泊まった。そして不正*者である民に、(こう)言われたのだ。「滅亡あれ」。
ヌーフ*は彼の主*に呼びかけて、申し上げた。「我が主*よ、本当に我が息子は、我が家族の一員です。そして本当にあなたのお約束は真実であり、あなたは最善の裁き手であられますのに(、彼は溺れ死んでしまいました)」。
かれ(アッラー*)は、仰せられた。「ヌーフ*よ、本当に彼は、あなたの家族の一員などではない[1]。実に彼は、行いが正しくない者なのだから。ならば、(その結果の善悪について)自分に知識もないことを、われに求めるのではない。本当にわれは、あなたが無知な者の類いとならぬよう、あなたを戒める」。
彼(ヌーフ*)は申し上げた。「我が主*よ、本当に私は、自分に知識がないことをあなたに求めたりしないよう、あなたにご加護を乞います。そしてあなたが私をお赦しになり、私にご慈悲をかけて下さらなければ、私は損失者の類いとなってしまいます」。
(すると、こう)言われた[1]。「ヌーフ*よ、われら*からの平安と共に、そしてあなたと、あなたと共にある者(たち)からなる共同体への祝福と共に、(船から地上へと)降りよ。(その子孫の内には、)われら*が(現世で)楽しませておき、その後にわれら*かれの痛ましい懲罰が降りかかる共同体も(、出現することになるのだが)」。
それは(使徒*よ)、われら*があなたに啓示する、不可視の世界*に属する消息の一部である。あなたも、あなたの民もこれ以前、それを知りはしなかったのだ。忍耐*せよ。本当に(現世と来世での善き)結末は、(アッラー*を)畏れる*者たちにあるのだから。
またアード*には、その同胞フード*を(遣わした)。彼(フード*)は言った。「我が民よ、アッラー*(のみ)を崇拝*せよ。あなた方にはかれの外、崇拝*すべきものなどないのだから。あなた方は(シルク*という嘘の)、捏造者以外の何者でもない。
我が民よ、私はそれ[1]ゆえに、あなた方に見返りを要求しているのではない。私の見返りは、私を創成[2]されたお方(アッラー*)から以外にはないのだ。一体、あなた方は(真理を)弁えないのか?
我が民よ、そして自分たちの主*に(罪の)赦しを乞い、それからかれに悔悟するのだ。(そうすれば、)かれはあなた方の上に豊かな雨を送り給い、あなた方の力の上に更なる力を上乗せして下さろう。そして(私の招く教えから、)罪深くも背き去ってはならない」。
彼ら(アード*)は、言った。「フード*よ、あなたは(自分の正しさを証明する)証拠を、私たちに持って来てはいない。また、私たちはあなたの言葉ゆえに、私たちの神々[1]を放棄する者ではないし、私たちはあなたを信じる者でもないのだ。
私たちの神々の内のいくつかが、あなたを悪いもの(狂気)で祟ったとしか言いようがない」。彼(フード*)は言った。「実に私は、アッラー*を(私の言葉の)証人としよう。そしてあなた方は、あなた方が(アッラー*の)同位者としているものと私が無縁であると証言せよ。
かれ(アッラー*)を差しおいて(、あなた方がシルク*を犯しているものとは無縁だ、と)。では、あなた方は一丸となって、私に対し策略を練るがよい。それから私には、猶予など与えなくてもよい。
本当に私は、我が主*であり、あなた方の主*であるアッラー*に、全てを委ねた*のだから。地を歩く生きもので、かれがその前髪をお掴みになっていないものはない[1]。本当に我が主*は、まっすぐな道におられる[2]お方。
それでもし、あなた方が(私が招くことから)背き去ったとしても、(私は構わない、)私は確かに、私があなた方へと託されて遣わされたものを、あなた方に伝えたのだから。我が主*は(あなた方を滅ぼされ)、あなた方とは別の(信仰する)民をお継がせになるのであり、あなた方がかれを害することなど少しもないのだ。本当に我が主*は全てのことを、よくお守りになる*お方」。
(アード*を滅ぼすという)われら*の命令が到来した時、われら*はわれら*の御許からの慈悲によって、フード*と、彼と共に信仰した者たちを救い出した。われら*は彼らを、荒々しい懲罰から救ったのである。
それがアード*、彼らは自分たちの主*の御徴[1]を否定し、その使徒*ら[2]に歯向かい、(真理に対して)尊大で頑迷なあらゆる者たちの命令に従った。
また彼らは、この現世において、呪い[1]に付きまとわれた。そして、復活の日*においても。まさしくアード*は自分たちの主*に対して不信仰だったのではないか。フード*の民アード*に滅亡あれ。
またサムード*には、その同胞サーリフ*を(遣わした)。彼は言った。「我が民よ、アッラー*(のみ)を崇拝*せよ。あなた方にはかれの外、崇拝*すべきものなどないのだから。かれは大地からあなた方(の祖アーダム*)を創造され、あなた方をそこにおける開拓者とされた[1]。ならば、かれに(罪の)お赦しを乞い、かれに悔悟するのだ。本当に私の主*は近くにおられるお方、(祈りを)聞き届けられるお方[2]であるのだから」。
彼ら(サムード*)は、言った。「サーリフ*よ、あなたはこれ[1]以前、私たちの間で確かに期待された人物であった。一体あなたは、私たちが、私たちのご先祖様が崇めるものを、崇めることを、禁じるのか?本当に私たちは、あなたが私たちを招いているものに対する、大きな疑惑の真っ只中にあるというのに」。
彼(サーリフ*)は、言った。「我が民よ、言ってみよ。もし私が、我が主*からの明証[1]に立脚し、その御許からのご慈悲[2]を授かっているにも関わらず、私がかれに逆らったならば、誰が私をアッラー*(の懲罰)から助けてくれるのか?あなた方(の呼びかけ)は私に、損失を上乗せするだけである。
我が民よ、そしてこれは(私の言うことの正しさを証明する、)あなた方への御徴としての、アッラー*の雌ラクダ[1]だ。ゆえにそれをアッラー*の地で食べるがままにしておき、それに対して害を及ぼしてはならない。そうすれば、間近に迫った懲罰があなた方に襲いかかるであろう」。
こうして彼らは(サーリフ*を嘘つき呼ばわりし)、その(雌ラクダの)腱を切った[1]。彼(サーリフ*)は、言った。「(懲罰が下るまでの)三日間、自分たちの土地で楽しんでいるがいい。それは偽りではない、(アッラー*からの)お約束だ」。
そして(、サムード*を滅ぼすという)われら*の命令が到来した時、われら*はわれら*の御許からの慈悲によって、サーリフ*と、彼と共に信仰した者たちを救い出した。また、その日の屈辱から(、彼らを救ったのだ)。本当にあなたの主*は強力なお方、偉力ならびない*お方である。
そして不正*を働いた者たちを(轟く)一声[1]が捉えると、彼らは(四日目の)朝、自宅で突っ伏して(死んで)いた。
彼らはあたかも、そこに暮らしてはいなかったかのようであった[1]。まさしくサムード*は、彼らの主*に対して不信仰であったのではないか。サムード*に滅亡あれ。
また、われら*の御使い(人間の姿を借りた天使*)たちは確かに、吉報を携えてイブラーヒーム*のもとに到来した[1]。彼らは(イブラーヒーム*に)言った。「(あなたに)平安を[2]」。彼(イブラーヒーム*)は言った。「(あなた方にこそ)平安を」。そして彼はすぐさま、焼いた仔牛を持って(彼らのところへと)やって来た。
そして彼(イブラーヒーム*)は、彼らの手がそれ(仔牛)に伸びないのを見た時、彼らを不審に思い、彼らに対して恐怖感を抱いた。彼らは言った。「怖がらなくてもよい。本当に私たちは、ルート*の民に(彼らを滅ぼすべく)遣わされたのだから」。
彼の妻(サーラ)は立って(その話を聴いて)おり[1]、笑ってしまった[2]。そしてわれら*は彼女に(天使*たちを介して)、イスハーク*(誕生)の吉報を伝えた。またイスハーク*の後には、ヤァクーブ*を(授けたのだ)。
彼女(サーラ)は言った。「我が災いよ[1]!私は年寄りで、これ(イブラーヒーム*)は老人である我が主人だというのに、私が出産するとでも?本当にこれは全く、驚くべきことです」。
彼ら(天使*たち)は、言った。「あなたはアッラー*の定めに驚いているのか?(預言者*)家の人々よ、アッラー*のご慈悲と祝福が、あなた方の上にあるように。本当にかれは称賛されるべき*お方、栄誉高き*お方である」。
そしてイブラーヒーム*から(、彼らが食事に手を出さなかったことによる)恐怖が去り、彼のもとに吉報が訪れると、彼はルート*の民について、われら*(の天使*たち)と議論[1]し出す。
本当にイブラーヒーム*こそは寛容な者、哀願する者[1]、よく(アッラー*に悔悟して)立ち返る者である。
(天使*たちは言った。)「イブラーヒーム*よ、これ[1]から身を引くのだ。本当にあなたの主*のご命令は確かに到来したのであり、彼らにはまさしく、防ぐことの出来ない懲罰が襲いかかるのだから」。
そしてわれら*の使いたちが(やはり人間の姿で)ルート*を訪れた時、彼は彼ら(の来訪)ゆえに気が滅入り、心苦しくなった。彼は言った。「これは大変な日だ」。[1]
そして彼(ルート*)の民が、彼のもとに急き立てられるようにしてやって来た。彼らは(天使*たちの訪問)以前、悪行(男色)を働いていたのだ。彼(ルート*)は言った。「我が民よ、これらの者たちは私の娘[1]である(から、望むなら結婚せよ)。彼女らの方が、あなた方にとって清浄なのだ。ならばアッラー*を畏れ*、私の客人のことで私を辱めるのではない。一体あなた方の中に、まともな者はいないのか?」
彼ら(民)は言った。「あなたの娘たちへの用など私たちにないことは、とっくに知っているはずだ。そして本当にあなたは、私たちが求めるものを、まさに知っている」。
彼(ルート*)は言った。「もし私に、あなた方に対する力があったなら。あるいは、力強い支持者に身を寄せることが出来たなら」。
彼ら(天使*たち)は言った。「ルート*よ、実に私たちは、あなたの主*の御使いなのだ。彼らが(害悪をもって)、あなたに触れることはない。ゆえに夜が更けてから、あなたの家族と共に(町[1]を)出発せよ。そしてあなた方の誰一人として、(後ろを)振り向いてはならない。但し、あなたの妻は別である。本当に、彼らに降りかかるもの(懲罰)が、彼女に(も)降りかかるのだから。実に彼らの約束の時は、早朝である。一体、早朝は間近なのではないか?」
そして(ルート*の民を滅ぼすという)われら*の命令が到来した時、われら*はそれ(町)を逆さまに(ひっくり返)し、その上に、積み重なった[1](硬い)泥土からなる石を降らせた。
主*の御許で、印[1]がつけられた(石を)。それは(クライシュ族*の不信仰者*という)不正*者たちから、遠いわけではない[2]。
またマドゥヤン*(の民)には、その同胞シュアイブ*を(遣わした)。彼は言った。「我が民よ、アッラー*(のみ)を崇拝*せよ。あなた方にはかれの外、崇拝*すべきものなどないのだから。そして升と秤[1]を減じ(、不正*を働い)てはならない。私はあなた方が豊かなのを目にしているが、本当に私はあなた方に対し、(あなた方を)八方ふさがりにする日の懲罰[2](が降りかかるの)を怖れているのだから。
我が民よ、そして升と秤(の測量)を公正さでもって全うするのだ。人々に対し、彼らのもの(権利)を損ねたり、腐敗*を働く者となって、地上で退廃を広めたりしてはならない。
アッラー*が残された物[1]の方が、あなた方にとってより善いのである。もし、あなた方が(本当に)信仰者なのであれば、だが。そして私は、あなた方への監視役[2]などではない」。
彼ら(民)は、言った。「シュアイブ*よ、あなたの(常々行っている)礼拝[1]が、私たちのご先祖様が崇めるもの[2]や、私たちが自分たちの財産において好き勝手に振舞うことを私たちが放棄するよう、あなたに命じているのか?本当にあなたという人は、寛大なお方、まともなお方だ[3]」。
彼(シュアイブ*)は言った。「我が民よ、言ってみよ、私が我が主*からの明証[1]に依拠し、その御許からの善き糧を授かっているというのに(、どうして私がアッラー*の命に背こうか)?そして私は、自分があなた方に禁じることにおいて、自ら違反するつもりはない。私は自分の出来る限り、(あなた方を)改善したいだけなのだから。そして私の成功は、アッラー*のみにかかっている。私はかれにこそ全てを委ね*、かれにこそ(悔悟して不断に)立ち返るのだ。
我が民よ、私への反目のせいで、ヌーフ*の民、フード*の民、サーリフ*の民に降りかかったようなものを、自分たちに降りかからせては、絶対にならない。ルート*の民は、あなた方から遠い[1]わけではないのだ。
そしてあなた方の主*にお赦しを乞い、それからかれに悔悟せよ。本当に我が主*は、慈愛深い*お方、寵愛深い*お方なのだから」。
彼ら(民)は、言った。「シュアイブ*よ、私たちはあなたの言うことの多くが分からないし、本当に私たちはまさしく、あなたが私たちの内で弱者だと思う。また、もしあなたの身内さえいなければ、あなたを(石で)打ち殺してやった[1]のだが。あなたは、私たちにとって貴人などではない」。
彼(シュアイブ*)は言った。「我が民よ、一体アッラー*よりも私の身内の方が、あなた方にとって貴いというのか?かれ(アッラー*)のことを、自分たちの背後に放ったらかしにしておきながら?本当に我が主*は、あなた方の行なうことを悉く包囲される*お方。
我が民よ、あなた方は自分たちのやり方で(、出来る限りのことを)行うがよい。実に私も、(自分のやり方で)行おう。あなた方はやがて、誰のもとに懲罰が訪れて、その者を辱めることになるか、また誰が嘘つきかを、知ることになろう。そして(自分たちに何が起こるか、)見守っているがよい。本当に私も、あなた方と共に見守る者なのだから。
そして(マドゥヤン*を滅ぼすという)われら*の命令が到来した時、われら*はわれらの御許からの慈悲によって、シュアイブ*と、彼と共に信仰した者たちを救い出した。そして不正*を働いた者たちを(轟く)一声[1]が捉えると、彼らは朝、自宅で突っ伏して(死んで)いた。
彼らはあたかも、そこに暮らしてはいなかったかのようであった[1]。サムード*が滅亡したように、マドゥヤン*に(も)滅亡あれ。
また、われら*は確かにムーサー*を、われら*の御徴と紛れもなき証拠[1]と共に遣わした。
フィルアウン*と、その(民の)有力者たちに。それで彼ら(民)は、(それを信じるのではない、という)フィルアウン*の命令に従った。フィルアウン*の命令など、真っ当なものではないのに。
يَقۡدُمُ قَوۡمَهُۥ يَوۡمَ ٱلۡقِيَٰمَةِ فَأَوۡرَدَهُمُ ٱلنَّارَۖ وَبِئۡسَ ٱلۡوِرۡدُ ٱلۡمَوۡرُودُ [٩٨]
彼(フィルアウン)は復活の日*、その民の先頭を切って進み、彼らを(地獄の)業火(という水場)に連行する[1]。(彼らの)連行先である水場は、何と醜悪であろうか。
また彼らは、これ(現世)と復活の日*において、呪いに付きまとわれる。(彼らに)授けられたその授かり物は、何と醜悪であろうか。
(使徒*よ、)それは(われら*が滅ぼした)町々の消息の一部であり、われら*があなたに語り聞かせるもの。その中には(まだ痕跡の)残っているものもあれば、(跡形もなく)壊滅させられたものもある。
そして、われら*が彼らに不正*を働いたのではない。しかし彼らが、(シルク*と地上で腐敗*を働くことで、)自分自身に不正*を働いたのである。(彼らの懲罰という)あなたの主*のご命令が到来した時、彼らがアッラー*を差しおいて祈っている彼らの神々[1]は、彼らを少しも益することがなかった。そしてそれらは彼らに、破滅以外の何も上乗せしてはくれなかったのである。
そして不正[1]を働く町々(の民)を(懲罰で)捕らえた時の、あなたの主*の捉え方も、(それらの町々に対するそれと)同様なのである。本当にかれの捉え方は、痛烈で凄まじい。
本当にその中にまさしく、来世の懲罰を怖れる者への御徴[1]がある。それは(清算と報いの)そのために、人々が集められる日、そしてそれは(前創造物によって)立ち会われる日なのだ。
そしてわれら*はそれ(復活の日*)を、決められた期限までしか、先延ばしにすることがない。
いかなる者も、かれ(アッラー*)のお許しなくしては話すことがない[1]、それ(復活の時)が到来する日。彼らの中には不幸な者も、幸福な者[2]もいる。
それで(間違った信仰と悪行ゆえ、現世で)不幸になった者たちといえば、(地獄の)業火の中にある。そこで彼らに、(その苦しみゆえの)大きな呻き声と喘ぎ声[1]がある。
諸天と大地が続く限り[1]、永遠にそこに留まる。但し、あなたの主*がお望みになったこと[2]は別だが。本当に(使徒*よ、)あなたの主*は、かれがお望みになることを決行されるのだ。
また幸福な者たちはといえば、天国の中にある。諸天と大地が続く限り[1]、永遠にそこに留まる。但し、あなたの主*がお望みになったこと[2]は別だが。(アッラー*は)途絶えることのない賜物(を、彼ら幸福な者たちにお与えになる)。
ならば(使徒*よ)、あなた[1]は(シルク*の徒である)これらの者たちが崇めるもの(の無意味さ)を、疑わしく思ってはならない。彼らは、過去に自分たちの先祖が崇めていたように(偶像を)崇めているに過ぎず、本当にわれら*は必ずや、彼らの取り分[2]を不足なく全うしてやるのだから。
また、われら*は確かに、ムーサー*に啓典(トーラー*)を授けた。すると、そこにおいて異論が生じ(、ある者は信じ、ある者は信じなかっ)た。そして(使徒*よ)、もし(彼らに対する懲罰を猶予する、という)あなたの主*からの先んじた御言葉がなければ、彼らの間には裁決[1]が下されてしまったであろう。そして本当に彼ら(不信仰者*たち)はそれ(クルアーン*)に対して、大きな疑惑の真っ只中にあるのだ。
(使徒*よ、)本当に全ての者に対し、あなたの主*は必ずや、その行いにお報いになるのである。本当にかれは、彼らが行うことに通暁されるお方なのだから。
(預言者*よ、)あなたが命じられたように、確固としてあれ[1]。そして、あなたと共に悔悟した者も(確固としてあれ)。また(アッラー*の法という境界線を、)踏み越えてはならない。本当にかれは、あなた方の行なうこと(全て)をご覧になるお方なのだから。
そして不正*を働いた者(不信仰者*)たちに同調し、それゆえに(地獄の)業火があなた方に触れることになってはならない。あなた方にはアッラー*の外、いかなる庇護者もなく、(地獄に入った)その後には(そこから)助けられることもないのだ。
また(預言者*よ、)昼の両端と夜の一部[1]に、礼拝を遵守せよ*。本当に善行は、悪行を駆逐する[2]のだから。それは教訓を得る者たちにとっての、教訓である。
そして忍耐*せよ。本当にアッラー*は、善を尽くす者[1]たちの褒美を無駄にはされないのだから。
どうして、あなた方以前の幾つもの世代には、地上での腐敗*を禁じる善き名残を有した者[1]たちがいなかったのか?われら*が彼ら(不信仰の民*)から救い出した、僅かな者たちを除いては(、そのような者たちはいなかったのである)。そして不正*を働いた者たちは、(現世の享楽という)与えられた贅沢を追求したのであり、罪悪者だったのだ。
(使徒*よ、)あなたの主*は、その住民が改善者である時に、町々を不正[1]ゆえに滅ぼされたりはしない。[2]
もしあなたの主*がお望みだったなら、人々を(イスラーム*のもとに)一つの共同体とされたであろう。(だが、アッラー*は英知ゆえにそうはされなかったのであり、)彼らは未だ、(宗教において)分裂しているのである。
但し、あなたの主*がご慈悲をかけられ(、アッラー*を信仰し、使徒*に従っ)た者[1]は、その限りではない。それ[2]ゆえにかれは、彼らを創造されたのである。そして「われは必ずや、(信仰しなかった)全てのジン*と人間で、地獄を満たすのだ」という、あなたの主*の御言葉は確定したのだ。
そして(使徒*よ)、われら*は使徒*たちの消息の内からあなたに(、あなたが必要とする)全てを、つまりそれによって、われら*があなたの心を堅固にするものを語り聞かせよう。あなたには、この(スーラ*の)中で、真理と訓戒、信仰者にとっての教訓が到来したのだ。
(使徒*よ、)信仰しない者たちに、(こう)言え。「あなた方は自分たちのやり方で(、出来る限りのことを)行うがよい。実に私たちも、(自分たちのやり方で)行おう。
そして(、私たちの結末を)待つがよい。本当に私たちも、(あなた方の結末を)待っているのだから」。
アッラー*にこそ、諸天と大地における不可視の世界*(に関する知識)は属し、かれにこそ、物事は万事帰される。ならば、彼を崇拝*し、かれに全てを委ね*よ。そしてあなたの主*は、あなた方が行うことに、無頓着なお方ではあられない。