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The Noble Qur'an Encyclopedia

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The family of Imran [Aal-e-Imran] - Japanese translation - Saeed Sato

Surah The family of Imran [Aal-e-Imran] Ayah 200 Location Madanah Number 3

アリフ・ラーム・ミーム[1]。

アッラー*はかれの外に真に崇拝*すべきものがなく、永世する*お方、全てを司る*お方。

(使徒*よ、)かれはあなたに、それ以前のもの[1]を確証する啓典(クルアーン*)を、真理をもってお下しになった。また、かれはトーラー*と福音*もお下しになり、

(それらをクルアーン*)以前に人々への導きとして(下し給い)、また(真理と虚妄を分ける)識別[1]を下された。本当にアッラー*の御徴[2]を否定する者たち、彼らには厳しい懲罰がある。アッラー*は偉力ならびない*お方、報復の主*。

本当にアッラー*は、地でも天でも、かれから姿を暗ますことが出来るものなど、何一つない。

かれはお望みのままに、あなた方を(母親の)胎内に形造られるお方。かれの外に、(真に)崇拝*すべきものはない。(かれは)偉力ならびない*お方、英知あふれる*お方である。

かれは、この啓典(クルアーン*)をあなたに下されたお方。その中には、啓典の母[1]である明確なアーヤ*と、(それとは)別の紛らわしいアーヤ*がある。心に歪みがある者たちは(人々の)誘惑を望み、(好き勝手な)解釈を求めて、意味が紛らわしい部分に従うのだ。アッラー*と、「私たちはこれ(クルアーン*)を信じた。(これは)全て我らが主*の御許からのものである」と言う、知識が深く根ざした者たちの外、その(真の)解釈を知るものはないというのに。澄んだ知性の持ち主以外、教訓を受けることはないのだ。

(彼らは、こう言う。)「我らが主*よ、私たちを導かれた後で、私たちの心を歪めないで下さい。そしてあなたの御許から、私たちにご慈悲をお授け下さい。本当にあなたこそは、恵み深い*お方なのですから。

我らが主*よ、本当にあなたは、(その到来に)疑惑の余地がない(復活の)日*に、人々を召集されるお方。本当にアッラー*が、約束を違えられることはありません。

本当に、不信仰に陥った*者たち、彼らにはその財産も子供も、アッラー*(の懲罰)に対しては何の役に立つこともない。それらの者たちこそは、業火の薪なのだ。

(彼らの結末は)フィルアウン*の一族や、それ以前の(不信仰)者*たちの習いと同様である。彼らはわれら*の御徴[1]を嘘よばわりし、アッラー*はその罪ゆえに彼らを(罰で)捕らえられた。アッラー*は、厳しく懲罰されるお方。

(使徒*よ、)不信仰に陥った者*たちに、言ってやるがいい。「あなた方は、じきに打ち負かされて、地獄に集められよう。その寝床は、何と醜悪なことか」。

(ユダヤ教徒*たちよ、バドルの戦い*で)会した二つの集団には、確かにあなた方への御徴[1]があった。(一方は)アッラー*の道において戦う集団であり、不信仰であるもう一方(の集団)には確かに、彼らがその(実際の数の)倍に見えたのだ[2]。アッラー*は、かれがお望みになる者を、かれのご援助でお助けになる。本当にそこにはまさしく、慧眼を有する者たちへの教示があるのだ。

(使徒*よ、)言ってやるがいい。「あなた方に、それよりも善いものを教えようか?敬虔である*者たちには、彼らの主*の御許に、その下から河川が流れる楽園——彼らはそこに永遠に住む——と、純潔な妻[1]たち、アッラー*からのご満悦がある。アッラー*は、その僕たちをよくご覧になるお方。

(彼らは、こう言う。)「我らが主*よ、私たちは本当に信仰しました。ゆえに、私たちのために私たちの罪をお赦しになり、私たちを業火の懲罰からお救い下さい」。

(彼らは)忍耐*があり、(言動において)正直、(アッラー*の教えに)従順で、(施しのために)よく費やし、夜明け前に(罪の)赦しを乞う者たち。

アッラー*は、公正を行われるかれの外に、崇拝*すべきものがないことを証言された。そして天使*たちも、知識ある者たちも、また(それを証言する)。かれの外に、崇拝*すべきものはない。(かれは)偉力ならびない*お方、英知あふれる*お方。

本当にアッラー*の御許における(真の)宗教[1]はイスラーム*である。そして啓典を授けられた人々が意見を異にしたのは、彼らのもとに知識[2]が到来した後のこと、彼らの間の侵犯[3]ゆえ以外の何ものでもなかった。誰だろうとアッラー*の御徴[4]を否定する者があっても(、アッラー*は彼にその応報を与えられるのであり)、本当にアッラー*は即座に計算されるお方*なのだ。

それで(使徒*よ)、もし彼ら(啓典の民*)があなたに(アッラーの唯一性*について)論争してくるのなら、言ってやるがよい。「私はアッラー*に(のみ)自分の顔を向け、服従した[1]。そして、私に従った者も同様である」。また、啓典を授けられた者*たちと文盲者たち[2]に、(こう)言うのだ。「あなた方は(アッラーの唯一性*において)、服従したのか?[3]」もし服従したならば、彼らは確かに(正しく)導かれたのである。そして、もし彼らが背き去ったとしても、あなたの義務は(啓示の)伝達だけなのだ。アッラー*は、その僕たちをよくご覧になるお方。

それらの者たちは、現世と来世においてその行いが台無しになってしまった者たち。彼らには、いかなる援助者もない。

(使徒*よ、)あなたは、啓典の一部を授けられた者たち(啓典の民*)が、彼らの間に裁決を下すためにアッラー*の啓典(クルアーン*)へと呼びかけられ、それから彼らの一部が、(真理から)身を翻して背を向けるのを見なかったのか?

それというのも、彼らが「(地獄の)業火が私たちに触れるのは、どうせ数日間だけだ[1]」と言っていたからなのだ。彼らがでっち上げていたものが、彼らの宗教において彼らを欺いたのである。

(その到来に)疑惑の余地のない(復活の)日*、われら*が彼らを召集し、各人が不正*を受けることなく、自らが稼いだことをふんだんに報われる時、(彼らの状況は)どうなってしまうだろうか?

(預言者*よ、祈って)言うがよい。「王権の所有者アッラー*よ、あなたは、あなたがお望みの者に王権をお与えになり、あなたがお望みの者から王権を剥奪されます。また、あなたがお望みの者に権勢をお与えになり、あなたがお望みの者を卑しめられます。あなたの御手にこそ、善きものはあります。本当にあなたは、全てのことがお出来になるお方なのですから。

あなたは夜を昼の中にお入れになり、昼を夜の中にお入れになります[1]。また死から生を取り出され、生から死を取り出されます[2]。そしてあなたは、あなたがお望みの者に、際限なくお恵みになるのです」。

信仰者たちは、(他の)信仰者を差しおいて、不信仰者*たちをその盟友としてはならない。そうする者は、アッラー*から完全に無縁となる[1]。但し、彼ら(の危害)から本当に身を守る[2]場合は、その限りではないが。アッラー*はあなた方に、ご自身(のお怒り)について警告される。かれこそは、あなた方の帰り所なのだ。

(預言者*よ、信仰者たちに)言うがいい。「あなた方が、自分たちの胸中にあることを隠そうが、それを露にしようが、アッラー*はそのことをご存知である。かれは、諸天にあるものと、大地にあるものを(全て)、知っておられるのだ。アッラー*は全てのことがお出来になるお方」。

各人が、自らが(現世で)行った善いことも悪いことも、ありありと目の当たりにする、(復活*の)その日のこと(を思い起こすがよい)。彼は(その時)、自分自身とその(悪事との)間に、遠い時間の隔たりがあったなら、と望むのだ。アッラー*はあなた方に、ご自身(の懲罰)について警告される。アッラー*は、その僕たちに哀れみ深い*お方。

(使徒*よ、)言うのだ。「もし、あなた方がアッラー*のことを(真に)愛しているのなら、私に従うのだ。(そうすれば)アッラー*もあなた方を愛して下さり、あなた方のために、その罪をお赦し下さる。アッラーは赦し深いお方、慈愛深い*お方なのだから」。

(使徒*よ、)言え。「アッラー*と使徒*に従うのだ」。それで、もし彼らが背き去ったならば、本当にアッラー*が不信仰者*たちを愛されることはないのである。

実にアッラー*は、アーダム*、ヌーフ*、イブラーヒーム*の一族、イムラーンの一族[1]を、全創造物の中から選り抜かれた。

互いに繋がり合う子孫として。アッラー*は、よくお聞きになるお方、全知者であられる。

イムラーンの妻が、(祈って、こう)言った時のこと(を思い起こさせよ)。「我が主*よ、本当に私は、自分のお腹に宿っているものを、自由な者[1]としてあなたに捧げると誓いました。ゆえに私から、お受け入れ下さい。本当にあなたは、よくお聞きになるお方、全知者であられますから」。

彼女(マルヤム*)を出産した時、彼女(イムラーンの妻)は言った。「我が主*よ、本当に私は女児を生んでしまいました——アッラー*は、彼女が生んだものを最もよくご存知である——。そして男性は、女性のようではありません[1]。また、本当に私は、彼女をマルヤム*と名付けました。そして実に私は、追放された[2]シャイターンに対し、彼女とその子孫へのあなたのご加護をお祈りします。」

彼女(イムラーンの妻)の主は、彼女を快くお受け入れになり、彼女(マルヤム*)を見事にお育てになった。そしてかれは、ザカリーヤー*に彼女の養育をお任せになった[1]。彼(ザカリーヤー*)は彼女を訪れてミフラーブ[2]に入るたびに、彼女のもとに食べ物[3]があるのを見出した。彼は言った。「マルヤム*よ、一体どこからあなたにこれが?」彼女は(答えて)言った。「これは、アッラー*の御許からです。本当にアッラー*は、かれがお望みの者に、際限なくお恵みになるのです。」

そこでザカリーヤー*は、彼の主*に祈(って言)った。「我が主*よ、あなたの御許から私に、よき子孫をお授け下さい[1]。本当にあなたは、祈りをお聞きになるお方です」。

そして、彼(ザカリーヤー*)がミフラーブで礼拝しつつ立っていると、天使*たちが彼に呼びかけた。「アッラー*はあなたに、ヤヒヤー*(誕生)の吉報をお伝えになる。アッラー*からの御言葉[1]を信じる者、(民の)長、隔てられた者[2]、正しい者*たちの一人である預言者*として(の彼の吉報を)」。

彼(ザカリーヤー*)は言った。「我が主*よ、どうして私に男の子が出来ましょう?私はもう高齢に達し、私の妻は不妊だと言いますのに」。彼(天使*)は言った。「そのように、アッラー*はお望みのことをなされるのだ」。

彼(ザカリーヤー*)は言った。「我が主*よ、私に御徴[1]をお示しください」。彼(天使*)は言った。「あなたへの御徴は、あなたが三日間、身振りによる以外は人々と話すことが出来なくなることである。そして、あなたの主*を多く唱念し、夕に朝に称える*のだ」。

天使*たちが、(こう)言った時[1]のこと(を思い起こさせよ)。「マルヤム*よ、本当にアッラー*はあなたをお選びになり、清められた。そして全世界の女性の中から、あなたを選りすぐられたのである。

マルヤム*よ、あなたの主*に謹んで仕えよ。そして(かれに)サジダ*し、ルクーゥ*する者たちと共にルクーゥ*をするのだ」。

それは(使徒*よ)、われら*があなたに啓示する、不可視の世界*に属する消息の一部である。そして彼らが、誰かマルヤム*を養育するかを決めるために(くじ引きの)筆を投げた時[1]、あなたは彼らの所にはいなかった。また彼らが言い争った時も、あなたは彼らと一緒ではなかったのだ。

天使*たちが、(こう)言った時のこと(を思い起こさせるがよい)。「マルヤム*よ、本当にアッラー*は、ご自身からの御言葉[1]についての吉報を、あなたにお伝えになる。その名はマスィーフ*、マルヤム*の子イーサー*。現世でも来世でも栄誉ある者であり、(アッラー*の御許ではその)側近の一人。

また、彼は揺りかごの中からでも、壮年になってからも人々に語りかけ、正しい者*たちの一人である」。

彼女(マルヤム*)は、(驚いて)言った。「我が主*よ、どうして私に子供が出来ましょうか?今まで誰一人、私に触れたことなどありませんのに」。彼(天使*)は言った。「そのように、アッラー*はお望みのものをお創りになる。かれが一事をお取り決めにな(り、お望みにな)れば、それに『あれ』と仰せられるだけで、それは存在するのである。[1]

また、かれ(アッラー*)は書[1]、英知、トーラー*、福音*を、彼(イーサー*)にお教えになる。

そして(彼を)、イスラーイールの子ら*への使徒*と(され、彼にこう言わせられる)。『実に私は、あなた方の主*からの御徴[1]を携えて、あなた方のもとにやって来た。本当に私があなた方のために、泥土で鳥の形のようなものを作り、そこに息を吹き込むと、それはアッラー*のお許しにより(本物の)鳥となる。また、私はアッラー*のお許しにより、生まれつきの盲人やライ病[2]患者を癒し、死人を蘇らせよう。そしてあなた方が家で食べているものと、蓄えているものについて、あなた方に話して聞かそう。本当にそこにこそ、あなた方への御徴があるのだ。もし、あなた方が信仰者であるというのなら。

また(私は)、トーラー*という私以前のもの(の内容)を確証し、あなた方に禁じられたものの一部[1]をあなた方に合法化するために(、あなた方のもとにやって来た)。そして私は、あなた方の主*からの御徴[2]を携えて、あなた方のもとに到来したのである。ゆえにアッラー*を畏れ*、私に従うのだ。

本当にアッラー*は、我が主*であり、あなた方の主*。ならば、かれ(のみ)を崇拝*せよ。これが、まっすぐな道なのだから』」。

(しかし彼らはイーサー*を、嘘つき呼ばわりした。)それでイーサー*は、彼ら[1]の不信仰を察知すると、言った。「アッラー*(の道)への、私の援助者は誰か?」弟子たち[2]は言った。「私たちが、アッラー*の援助者です。私たちはアッラー*を信じました。(イーサー*よ、)私たちこそは服従する者(ムスリム*)である、と証言して下さい」。

(弟子たちは、アッラー*に祈って言った。)「我らが主*よ、私たちは、あなたが下されたものを信じ、使徒*(イーサー*)に従いました。ならば私たちを、証言者たち[1]と共にお書き留め下さい」。

そして彼ら[1]は策謀し、アッラー*も策謀なされた[2]。アッラー*は、最良の策謀者であられる。

アッラー*が、(こう)仰せられた時のこと(を思い起こさせよ)。「イーサー*よ、本当にわれはあなたを召し、あなたをわれの許に上げ、不信仰に陥った者*たちから清める[1]者である。また、あなたに従った者たちを、復活の日*まで不信仰に陥った者*たちに優越させる者である。それから(清算の日)、われにこそ、あなた方の戻り所がある。そしてわれは、あなた方が(イーサー*において)意見を異にしていたことにおいて、あなた方の間に裁定を下すのだ。

それで不信仰だった者*たちはといえば、われは彼らを、現世においても来世においても厳しい懲罰で罰する。そして彼らには、いかなる援助者もない」。

また、信仰して正しい行い*を行った者たち、かれ(アッラー*)は彼らに、余すことなく褒美をお授けになる。アッラーは、不正*者たちを好まれないのだ。

それ[1]は(使徒*よ)、われら*があなたに誦み聞かせる御徴[2]であり、英知にあふれる教訓である。

本当に、アッラー*の御許におけるイーサー*の状況は、まるでアーダム*のようなもの[1]。かれ(アッラー*)が士[2]から彼(アーダム*)を創造され、それに「(人間と)なれ」と仰せられるだけで、それは(そう)なるのである。

(使徒*よ、これは)あなたの主*からの真理。ならば、あなた[1]は絶対に、疑わしく思う者たちの類いとなってはならない。

それで(使徒*よ、イーサー*に関する真実の)知識があなたに下された後、彼についてあなたに議論をしかける者があれば、(こう)言ってやるがいい。「来なさい。私たちの子供とあなた方の子供、私たちの妻たちとあなた方の妻たち、そして私たち自身とあなた方自身を呼び(集め)、それから互いに本気で祈り合い、嘘をついている者にアッラー*の呪い[1]があるとしよう[2]」。

本当にこれこそは、まさしく真実の物語であり、アッラー*の外に崇拝*に値するものなどはない。そして本当にアッラー*こそは、まさに偉力ならびない*お方、英知あふれる*お方であられる。

それで、もし彼らが(あなたを信じることから)背き去ったとしても、アッラー*こそは腐敗*を働く者たちをご存知なお方なのだ。

(使徒*よ、)言え。「啓典の民*よ、私たちとあなた方との間の(共通する)正しい言葉へとやって来なさい。『私たちはアッラー*以外には崇拝*せず、かれに対して何ものをも並べない[1]。またアッラー*を差しおいて、自分たちの内の誰かを主としたりもしない』(という言葉へ)」。もし彼らが(この呼びかけから)背き去ったのなら、(ムスリム*たちよ、こう)言ってやるがいい。「私たちが(アッラー*に)服従する者(ムスリム*)であると、証言せよ[2]」。

啓典の民*よ、トーラー*も福音*もイブラーヒーム*の後に下されたものなのに、どうしてあなた方はイブラーヒーム*のことで議論するのか?一体あなた方は、分別することがないのか?[1]

ほら、あなた方という人たちは、自分たちが知識を有していることについてさえ(信じずに)議論しているというのに、なぜ自分たちに知識のないことについて議論するのか?[1]アッラー*がご存知なのであり、あなた方は知らないのだ。

イブラーヒーム*は、ユダヤ教徒*でもキリスト教徒*でもなかった。しかし彼は純正な人[1]であり、服従する者(ムスリム*)であった。そして、シルク*の徒の類いではなかったのだ。

本当に、イブラーヒーム*に最も近しい人々とは、まさしく彼に従った者たちと、この預言者*(ムハンマド*)、そして(彼を)信仰した者たちである。アッラー*は、信仰者たちの庇護者*なのだ。

啓典の民*の一派は、あわよくばあなた方を(イスラーム*から)迷わせようと望んでいる。彼らは気付かずに、自分自身を迷わすだけなのだが。

啓典の民*よ、あなた方はなぜアッラー*の御徴[1]を拒否するのか?あなた方は、(それを)目の当たりにしているというのに。

啓典の民*よ、あなた方はなぜ知っていながら、真理を虚妄で紛らわそうとしたり、真理を隠蔽したりするのか?

啓典の民*の一派は、言った。「一日の始めには信仰する者たちに下されたものを信じ、その(日の)終わりには否定するのだ。恐らく彼らは、(再び不信仰に)戻って来るであろうから。[1]

そしてあなた方の宗教に従う者以外は、(本気で)信じてはならない——(使徒*よ、)言ってやれ、本当に導きとはアッラー*のお導きだけである、と——、(それは)あなた方が授かったものと同様のものが誰かに授けられたり、彼らがあなた方の主*の御許であなた方と議論(して勝利)するようなことがないようにするためである[1]」。(使徒*よ、)言ってやるがいい。「実に(全ての)恩寵はアッラー*の御手にあり、かれはそれを、かれがお望みの者にお授けになる。アッラー*は公量な*お方、全知者であられる。

かれは、彼がお望みになる者に、そのご慈悲[1]を特別にお与えになる。アッラー*は、偉大な恩寵の主であられる」。

啓典の民*の中には、あなたが大金を託しても、それをあなたに返済する者がある。また彼らの中には、あなたが一枚の金貨を託しても、常に催促しない限り、返さない者もいる。それは彼らが、「文盲者たち[1](の権利侵害)において、私たちに(咎めらる)筋合いなどはない」と言っているためである。彼らは知っていながら、アッラー*に対して嘘を語っているのだ。

いや、かれ(アッラー*)との約束を果たし、(かれを)畏れ*る[1]者ならば、本当にアッラー*は(かれを)畏れる*者たちをお好みになる。

本当に、アッラー*との契約と自分たちの誓約と引き換えに、僅かな代価を得る者たち、それらの者たちには来世において何の(善き)取り分もない。そしてアッラー*は復活の日*、彼らに(嬉しい)お言葉をかけても下さらなければ、彼らを(慈悲の目で)ご覧にもならず、彼らを、(罪から)清めて下さることもない。彼らには、痛ましい懲罰があるのだ。

また、本当に彼ら(ユダヤ教徒*)の中には、あなた方がそれを啓典の一部と思い込むようにすべく、啓典(の内容)を口で言い換える一派がある。それは啓典の一部などではないのに。また彼らは、「これはアッラー*の御許からのものだ」などと言う。それは、アッラー*の御許からのものなどではないのに。彼らはアッラー*について、知りつつ嘘を語っているのだ。

アッラー*が人間[1]に、啓典と英知[2]と預言者*としての天分を授けられた後、その者が人々に向かって「アッラー*を差しおいて、私を崇拝*せよ」などと言うことはありえない。しかし(そのような者は、こう命じるのが当然なのだ。)「あなた方は、啓典を教え、自らも学んできたことによって、学識豊かな指導者[3]となるのだ」。

また(そのような者が、)「天使*や預言者*たちを主*とせよ」などと、あなた方に命じることも(、ありえない)。一体、あなた方が服従する者(ムスリム*)となった後、(彼が)あなた方に不信仰を命じることなどがあろうか?

アッラー*が、預言者*たちの確約[1]を受け取られた時のこと(を思い起こさせよ。かれは、こう仰せられた)。「われがあなた方に啓典と英知を授け、その後にあなた方のもとにあるもの(啓典)を確証する使徒*があなた方のところに来たら、あなた方は必ずや彼を信じ、援助するのだ」。(それから)かれは仰せられた。「あなた方は(そのことを)了承し、それについて、わが確約を受け取るか?彼らは申し上げた。「承知しました」。(すると)かれは仰せられた。「それでは証言せよ[2]。われもあなた方と共に、証人となろう」。

誰であれ、その(確約の)後に(イスラーム*への招きから)背き去った者、それらの者たちは放逸な者である。

一体、彼らはアッラー*の宗教(イスラーム*)以外のものを求めるというのか?諸天と大地にいるものは——従順にであろうと、嫌々であろうと——かれに服従し[1]、そして彼らは(復活の日*)、かれの御許にこそ戻らされるというのに。

(使徒*よ、)言ってやるがいい。「私たちはアッラー*、私たちに下されたもの(クルアーン*)、イブラーヒーム*、イスマーイール*、イスハーク*、ヤァクーブ*、諸支族[1]に下されたものを信じる。またムーサー*とイーサー*と、(その他の)預言者*たちが彼らの主*から授けられたものを信じる。私たちは、彼らの内の誰も分け隔てはしない[2]。そして私たちは、かれ(アッラー*)のみに従う者(ムスリム*)なのである」。

誰であれ、イスラーム*以外のものを宗教として望む者は、決してそれを受け入れられない。また来世において、その者は損失者の類となるのである。

信仰に入り、使徒*は真実であると証言した後、自分たちのもとに明証が訪れたにも関わらず不信仰に陥った民を、アッラー*がどうしてお導きになろうか?アッラー*は、不正*者である民をお導きにはならない。

それらの者たちの応報は、アッラー*と天使*たち、そして人々全員の呪いが、彼らの上に注がれること[1]である。

彼らはそこ(地獄の業火)に永住する。彼らは懲罰を軽減されることもなければ、猶予を与えられることもない。

但し、(不信仰の)その後に悔悟し、(誤りを)正した者たちは別であ(り、アッラー*は彼らをお赦しにな)る。本当に、アッラー*は、赦し深いお方、慈愛深い*お方なのだから。

本当に、信仰した後に不信仰に陥り、それから更に不信仰が甚だしくなった者たち、彼らの悔悟は受け入れられない[1]。そしてそれらの者たちこそは、迷い去った者たちなのだ。

本当に不信仰に陥り、不信仰者*のまま死んだ者たち、彼らの誰一人として、大地一杯の黄金さえ受け入れられることはない。たとえ、(復活の日*の懲罰を免じてもらうため、)それで償おうとしても(、受け入れられないのだ)。それらの者たちには痛ましい懲罰があり、彼らにはいかなる援助者もない。

あなた方は自らが欲する物の内から施すまで、(真の)善[1]に到達することはない。そしていかなるものでも、あなた方が施すならば、アッラー*はそれを必ずやご存知になるお方。

トーラー*が下される以前にイスラーイール(ヤァクーブ*)が自ら禁じた者以外は、全ての(善き)食物はイスラーイールの子ら*に許されていた。(使徒*よ、)言ってやるがいい。「トーラー*を持ってきて、(アッラー*がそれを禁じられたという証拠を見せるべく、)それを読誦してみよ。もし、あなた方が真実を語っているのならば。[1]

それでその後、アッラー*に対して、嘘を捏造する者があれば、それらの者たちこそは不正*者である」。

(使徒*よ、)言ってやれ。「アッラー*は真実を述べられる。ゆえにシルク*の徒の類ではなかった、純正な[1]イブラーヒーム*の宗教に従うのだ」。

本当に、(アッラー*を崇拝*するため)人々のために最初に建立された館(カァバ神殿*)は、バッカ[1]にあるもの。祝福にあふれ、全世界への導きとして(建立されたものなのだ)。

そこには、数々の明白な御徴[1]がある。(その一つが、)イブラーヒーム*の立ち所[2]。誰でもその中に入る者は、安全なのだ[3]。人々、つまりそこまでの道(を旅行すること)が可能な者⁴には、その館へとハッジ*するというアッラー*への義務がある。そしてそれ(ハッジ*の義務性)を否定する者があっても、実にアッラー*は全世界(のいかなるものへの必要)から、満ち足りた*お方なのだ。

(使徒*よ、)言ってやるがいい。「啓典の民*よ、あなた方はなぜ、アッラー*の御徴[1]を否定するのか?アッラー*は、あなた方が行うことの証人であられるというのに」。

(使徒*よ、)言ってやるがいい。「啓典の民*よ、あなた方はなぜ、信仰する者をアッラー*の道から阻むのか?あなた方は(その道が正しいことの)証人なのに、それ(その道)を捻じ曲げようとして?アッラー*はあなた方の行いに、決して迂闊ではあられない」。

信仰する者たちよ、もしあなた方が啓典を授かった人々の一派に従うならば、彼らはあなた方を信仰の後、不信仰者*へと戻してしまうであろう。

そして(信仰者たちよ)、どうしてあなた方が不信仰となろうか?アッラー*の御徴(アーヤ*)があなた方に読誦され、かれの使徒*は、あなた方の間にいるというのに?アッラー*(の教え)にしがみつく者は、既にまっすぐな道に導かれているのである。

信仰する者たちよ、真の畏怖の念[1]をもってアッラー*を畏れ*よ。そして服従する者(ムスリム*)としてでしか、死んではならない。

また、アッラー*の絆[1]に皆でしっかりとしがみ付き、分裂してはならない。あなた方に対するアッラー*の恩恵を、思い出すのだ。あなた方が(かつて)敵対し合っていた[2]のに、かれがあなた方の心を結び付けられ、あなた方がかれの恩恵によって同胞となった時のことを。(以前)あなた方は業火の穴の淵にいたが、かれはあなた方を(イスラーム*によって)、そこからお救いになったのである。このようにアッラー*は、あなた方が導かれるよう、あなた方に御徴を明らかにされるのだ。

また(信仰者たちよ)、あなた方の内から、善きことへと招き、善事を命じて悪事を禁じる[1]共同体をあらしめよ。それらの者たちこそは、成功者なのである。

そして明証が訪れた後に分裂し、(互いに)意見を異にした者たち[1]のようになってはならない。それらの者たちには、この上ない懲罰がある。

(復活*の)その日、ある(者の)顔は白くなり、また別の(者の)顔は黒くなる[1]。顔が黒くなった者たちといえば、(こう言われる。)「一体あなた方は信仰した後に、不信仰に陥ったというのか?ならば、あなた方が不信仰だったことゆえの懲罰を、味わうがよい」。

また、顔が白くなった者と言えば、アッラー*のご慈悲の中[1]にあり、そこに永遠に留まる。

それは(使徒*よ)、われら*があなたに真理と共に誦み聞かせるアッラー*の御徴(アーヤ*)。アッラー*はいかなる創造物に対しても、不正*をお望みにはならない。

そして諸天にあるものと、大地にあるものはアッラー*にこそ属し、(一切の)物事はアッラー*へと帰される。

(ムハンマド*の共同体よ、)あなた方はもとより、人類へ遣わされた最良の共同体なのだ。あなた方は善事を命じて悪事を禁じ[1]、アッラー*を信仰する。もし啓典の民*が(イスラーム*を)信じたなら、(それが)彼らにとって、より善いことだったのだ。彼らの内には信仰者もいるが、大部分の者は放逸な者たちである。

彼らはあなた方のことをいくらか悩ませる[1]だけで、害することはない。そしてもしあなた方と戦ったとしても、背中を見せ(て敗走す)るのがおちである。それから彼らが、勝利を授かることもないのだ。

アッラー*からの絆と、人々との絆[1]によらない限り、彼らはどこで捕えられようと屈辱に付きまとわれ、アッラー*のお怒りと共に戻って来て[2]は、貧困に付きまとわれる。それというのも彼らはアッラー*の御徴を否定し、不当にも預言者*たちを殺害していた[3]からである。それは彼らが(アッラー*に)反抗し、(かれの法に反することにおいて)度を越していたためなのだ。

彼らは一様ではない。啓典の民*の中にも、正しい一団[1]がある。彼らは夜の刻にサジダ*しつつ、アッラー*の御徴(アーヤ*)を読誦するのだ。

また、彼らがするいかなる善行も、決して無駄にされることはない。アッラー*は、敬虔な*者たちをご存知なのだ。

本当に、不信仰に陥った者*たち、彼らにはその財産も子供も、アッラー*(の懲罰)に対しては何の役にも立たない。それらの者たちは業火の住人。彼らはその中で永住するのだ。

彼らが現世の生活で施すものの様子は、あたかも酷寒を運ぶ風のようなもの[1]。それは(不信仰とアッラー*への反抗によって)自ら不正*を働いた民の作物を襲い、それを枯らしてしまう。アッラー*が彼らに不正*を働かれたのではない。しかし彼らが、自分自身に不正*を働いたのである。

信仰する者たちよ、あなた方(信仰者たち)を差しおいて、(不信仰者*の)腹心を選んではならない。彼らは、あなた方(の状況)を堕落させることに抜かりない。彼らは、あなた方が苦難に遭うことを望んだのだ。敵意(の印)は、もう彼らの口から明らかになったのであり、彼らが胸中に潜めているものは更に甚だしい。われら*は既に、あなた方に御徴[1]を明らかにした。もしあなた方が、(それを)理解するならば。

ほら、あなた方という人たちは彼らを好いているが、彼らの方ではあなた方を好いてはいない。あなた方は、全ての啓典を信じているというのに[1]。また彼らは、あなた方と会った時には(本音とは裏腹に、)「私たちは信仰する」と言った。そして自分たちだけになると、(ムスリム*たちの団結とイスラーム*の興隆に対する)憤りゆえに、指先を噛んだのだ。(使徒*よ、彼らに)言ってやれ。「憤死するがいい」。本当にアッラー*は、胸中にあるものをご存知になるお方。

(信仰者たちよ、)彼らは、あなた方に善いことが起きれば落胆する。また、あなた方を災難が襲えば、それに歓喜する。そして忍耐して(アッラー*を)畏れる*ならば、彼らの策略は少しもあなた方を害することはない。本当にアッラー*は、彼らの行うことを悉く包囲される*お方。

(使徒*よ、)あなたが信仰者たちを戦闘のための持ち場に配置すべく、早朝に家族のもとを後にした時[1]のこと(を思い起こさせるがよい)。アッラー*はよくお聴きになるお方、全知者であられる。

あなた方の内の二団[1]が、臆病風に吹かれ(退却し)そうになった時のこと(を思い起こすのだ)。アッラー*が彼らの庇護者*だというのに。信仰者たちには、アッラー*にこそ全てを委ねさせよ*。

(信仰者たちよ、)アッラー*は確かに、まだあなた方が弱小であった時、バドル(の戦い*)[1]であなた方に勝利を授けられた[2]。ならば(かれの恩恵に)感謝すべく、アッラー*を畏れる*のだ。

(預言者*よ、)あなたが信仰者たちに、(こう)言った時のこと(を思い出させよ)。「あなた方の主*が、舞い降りる三千の天使*であなた方を増強させられれば、それで十分なのではないか?

いや(、それで十分なのだ)。もし、あなた方が忍耐*して(主*を)畏れ*、彼ら(敵軍)があなた方のもとにそのように逸り立って(襲いかかって)来るならば、あなた方の主は目印をつけた[1]五千の天使*でもって、あなた方を増強させられる」。[2]

そしてアッラー*がそうされたのは、(それが)あなた方への吉報となり、それであなた方の心が安らぐために外ならなかった。勝利は、偉力ならびなく*、英知あふれる*アッラー*の御許からのみ、訪れるのだ。

(バドルでの勝利は、アッラー*が)不信仰に陥った者*たちの一部を壊滅させたり、または彼らに苦汁を嘗めさせて、敗北者として撤退させたり、

——(使徒*よ、)そのことについて、あなたには何の権限もない[1]——または彼らの悔悟を受け入れたり、あるいは彼らが不正*者であるがゆえに、彼らを懲らしめたりするためのものだったのだ。

そしてアッラー*にこそ、諸天にあるものと大地にあるものは、属する。かれはかれがお望みになる者をお赦しになり、またお望みになる者を罰される。アッラー*は赦し深いお方、慈愛深い*お方。

信仰する者たちよ、利息*を何倍にも膨らませて、貪ってはならない[1]。また、あなた方が(現世と来世で)成功すべく、アッラー*を畏れ*よ。

そして、不信仰者*たちのために用意されている業火を恐れ、

あなた方がご慈悲を授かるよう、アッラー*と使徒*に従うのだ。

そして、あなた方の主*からのお赦しと天国(の獲得)に、奔走するがよい。(天国の)その広さは諸天と大地ほどもあり、敬虔な*者たちのために用意されている。

(彼ら敬虔な*者たちとは、)順境においても災難の中であっても施し、憤りを抑え[1]、人々を大目に見てやる者たち。アッラー*は善を尽くす者[2]たちを、お好みになる。

また、醜行[1]をしたり、(罪を犯すことで)自らに対して不正*をしたりした時にはアッラー*を思い出し、その罪の赦しを乞う者たち。——アッラー*の外に、誰が罪を赦すことが出来ようか?——そして彼らは、(アッラー*に悔悟すれば、それを受け入れられることを)知った上で、自分のした(悪い)ことに固執し続けることがない。

それらの者たち、その褒美は、彼らの主からのお赦しと、その下から河川が流れる楽園。彼らはそこに永住する。(アッラー*のために、善行に)励む者への褒美は、何と素晴らしいものか。

あなた方以前にも既に、(信仰者が不信仰者*との闘いという試練に遭い、最後には勝利するという)アッラー*の摂理が過ぎ去ってきた。ならば、あなた方は地上を旅して、(アッラー*と使徒*を)嘘呼ばわりした者たちの結末がどのようなものであったか、見てみるがよい。

これ(クルアーン*)は人々への明示であり、敬虔な*者たちへの導きと訓戒である。

(信仰者たちよ、ウフドの戦い*での被害ゆえに、)あなた方は衰弱したり、悲しんだりしてはならない。あなた方は勝利者なのである。もし、あなた方が信仰者であるのなら。

(信仰者たちよ、)たとえあなた方が痛手を負ったとしても、かの民[1]も確かに、(かつてのバドルの戦い*で)同様の痛手を負ったのである[2]。われら*はそれらの日々を、人々の間に交互に配分するのだ[3]。また、(それは)アッラー*が信仰する者たちを如実に表され、あなた方の内から殉教者をお選びになるためである——アッラー*は、不正*者をお好みにはならない——。

また(それは)、アッラー*が信仰する者たちを浄化[1]され、不信仰者*たちを根絶やしにされるためなのである。

いや、(教友*たちよ、)あなた方は、アッラー*があなた方の内の努力奮闘する者たちを如実に表されず、忍耐*ある者たちを露わにされてもいないというのに、天国に入れるとでも思い込んでいたのか?

また(信仰者たちよ)、あなた方は、確かに(ウフドの戦い*以前には、殉教による)死を望んでいたのだ。それ(死)に直面する前には。そして確かに、あなた方はそれをまざまざと、目の当たりにした。[1]

ムハンマド*は、一人の使徒*に過ぎない。彼以前にも、使徒*たちが滅び去っていったのである。それでもし彼が死んだり、殺されたりしたら、あなた方は踵を返すのか[1]?踵を返す者があっても、その者が少しもアッラー*を害することはない。アッラー*は(その恩恵に)感謝する者たちに、(善く)お報いになる。

また、定められた期限というアッラー*のお許しなくしては、誰も死ぬことがない。そして誰でも現世の褒美を望む者には、われらがそこ(現世の褒美)から与えよう。また、誰でも来世の褒美を望む者には、われら*がそこ(来世の褒美)から与えよう[1]。われら*は感謝する者たちに、(よく)報いるのだ。

どれだけ多くの預言者*と共に、数多くの使徒[1]が戦ったことであろう。そして彼らは、アッラー*の道において自分たちに降りかかったもの[2]ゆえに衰弱したり、弱体化したり、(敵に対して)屈したりもしなかった。アッラー*は、忍耐*ある者たちをお好みになる。

そして彼ら(忍耐*ある者たち)の言葉は、(こう)言うものでしかなかった。「我らが主*よ、私たちの罪と、自分たちの(宗教上の)事における私たちの行き過ぎ[1]を、お赦し下さい、そして私たちの足を堅固にし、不信仰者*の民に対して勝利をお授け下さい」。

こうしてアッラー*は、彼らに現世の褒美と、来世の素晴らしい褒美[1]を授けられた。アッラー*は、善を尽くす者[2]たちをお好みになる。

信仰する者たちよ、あなた方がもし不信仰に陥った者*たちに従うならば、彼らは(不信仰へと)あなた方の踵を返させ、あなた方は損失者へと舞い戻ってしまうであろう。

いや、アッラー*があなた方の庇護者*なのであり、かれが最善の援助者なのだ。

われら*はじきに、不信仰に陥った者*たちの心に恐怖を投げ込もう。彼らが、アッラー*が(崇拝*における正当性に関する)いかなる根拠も下されなかったものを、かれに並べ(て崇め)たことゆえに。そして彼らの住処は業火なのだ。不正*者たちの住まいは、何と醜悪なことか。

また、あなた方がアッラー*のお許しにより、(ウフドの戦い*で)彼ら(不信仰者*)を討伐していた時、かれは確かにあなた方への(勝利の)約束を果たされた。かれがあなた方の好むもの(である勝利と戦利品*)をお見せになった後、あなた方が尻込みし、命令[1]のことで争い始め、(それに)背くまでは。——あなた方の中には、現世を欲する者もいれば、来世を欲する者もいる[2]——。それからかれ(アッラー*)はあなた方を試されるため、あなた方を彼ら(への勝利)から転じさせられた。そしてかれは、もうあなた方を大目に見て下さったのである。アッラー*は信仰者たちに対する、恩寵の主であられるのだから。

(教友*たちよ、)あなた方が(敵軍から逃げて山を駆け)登り、誰のことも顧みなかった時のこと(を思い出せ)。使徒*は(戦場に留まり)、あなた方のことを後方から呼んでいた。それでかれ(アッラー*)は暗雲に次ぐ暗雲[1]で、あなた方に報われた。(それは)あなた方が逃がしたもの(勝利と戦利品*)や、あなた方に降りかかったこと(恐怖や敗北)について、あなた方が悲しまないようにするためであった[2]。アッラー*は、あなた方の行うこと(全て)に通暁されている。

それからかれはその暗雲の後、あなた方へ安らぎを、つまりまどろみを下された。それは、あなた方の一派(信仰者たち)を包んでくれた。一方、自分たちの身がとても心配であ(り、眠れなか)った(別の)一派(である偽信者*たち)は、アッラー*に対し、不当にもジャーヒリーヤ*の憶測のような憶測[1]をしている。彼らは言うのだ。「私たちにはその事で、どうすることも出来なかったのではないか?[2]」(使徒*よ、彼らにこう)言ってやるがいい。「事は、全てアッラー*に属する」。彼らはあなたに明かしていないことを、胸中に潜めている。彼らは、(こう)言うのだ。「もし私たちに、その事に関して何か出来たなら、こんな所で殺されはしなかったのに」。言ってやるがいい。「たとえあなた方が(出征せずに)家の中に留まったとしても、殺されることを定められている者は、死に場所へと(自ら)出て来るものなのである」。そして(それは)、アッラー*があなた方の胸中にあるものを試され、またあなた方の心中にあるものを浄化[3]されるためであった。アッラー*は、胸中にあるものをご存知になるお方である。

(教友*たちよ、)両軍が会した(ウフドの戦い*の)日、本当にあなた方の内で逃亡した者たちは、彼らが稼いだもの(罪)の一部によって、シャイターン*が滑り落とさせたに外ならない[1]。アッラー*は、もう彼らを大目に見られた。本当にアッラー*は、赦し深い*お方、寛大な*お方なのだから。

信仰する者たちよ。不信仰に陥り、自分たちの同胞に対し、彼らが地上を旅したり、または出征中だったりし(て落命し)た時、(こう)言った者たちのようになってはならない。「もし彼らが私たちのもとに(留まって)いたなら、死んだり、殺されたりすることもなかったのに」。 (それは)アッラー*がそのこと[1]で、彼らの心に(更なる)悲痛をお与えになるためなのだ。アッラー*は、生を与え、死を与えられる。そしてアッラー*は、あなた方の行いを(全て)ご覧になるお方。

(信仰者たちよ、)もしも、あなた方がアッラー*の道において殺されたり、死んだりしたとしても、アッラー*からのお赦しとご慈悲こそは、彼らが(現世で)集めるものよりも優るのだ。

そして、もしもあなた方が死んだり、殺されたりしても、あなた方は必ずや(復活の日*、)アッラー*の御許に召集されるのである。

(預言者*よ、)あなたが彼ら(教友*たち)に優しかったのは、アッラーのご慈悲によるものであった。あなたがもし粗野で硬い心の持ち主だったなら、彼らはあなたの周囲から離れ去っただろう。ならば(預言者*よ、)彼らを大目に見、彼らのために(アッラー*の)お赦しを乞い、また(必要な)諸事においては彼らと相談せよ[1]。そして決意したならば、(その結果は)アッラー*に全てを委ねる*のだ。本当にアッラー*は、全てを(かれに)委ねる*者たちをお好みになるのだから。

もしアッラー*があなた方をお助けになれば、あなた方を打ち負かすものは何一つない。また、もしかれがあなた方を見捨てられれば、かれを差しおいてあなた方を助ける者とは、一体誰なのか?信仰者たちには、アッラー*にこそ全てを委ね*させよ。

預言者*がごまかすなどということは、あり得ない[1]。そしてごまかす者は誰であろうと、復活の日*にその着服したものを携えてやって来る[2]のだ。それから各人は不正*を受けることなく、自らが稼いだもの(の報い)を全うされる。

一体、アッラー*のお喜びを追求し(て服従し)た者は、(不服従ゆえに)アッラー*の激怒と共に戻って来て[1]、その住処が地獄となる者と同じだろうか?その行き先は、何と醜悪であろう。

彼らは、アッラー*の御許において、(様々に異なる)位なのである。アッラー*は、彼らの行いを(一つ残さず)ご覧になるお方。

アッラー*は信仰者たちの上に、確かにお恵みをかけられた。かれが彼ら自身の内から彼らの中に、その御徴(アーヤ*)を彼らに誦み聞かせ、彼らを清め、彼らに啓典と英知[1]を教える一人の使徒*を遣わされた時のこと。(その使徒*が遣わされる)以前、彼らは明白な迷いの中にあったのだ。

一体、(ウフドの戦い*で)あなた方に災難——あなた方は既に(バドルの戦い*で)、その倍の被害を(敵に)与えている[1]——が降りかかった時、あなた方は「これは一体どうしたことか?」などと言うのか?(預言者*よ、)言ってやるがいい。「それは(預言者*の命令[2]に反したことが原因で起きた)、あなた方自身によるものである。本当にアッラー*は、全てのことがお出来のお方」。

また、両軍が会した(ウフドの戦い*の)日にあなた方に降りかかったことは、アッラー*のお許し(定め)によるものであり、そして信仰者たちが如実に評され、

偽の信仰だった者たちが明るみになるためであった。彼ら(偽信者*たち)には、(こう)言われたのだ。「来なさい、アッラー*の道において(私たちと共に)戦うか、または(軍に加勢して人数を増やし、敵を)追い返すのだ」。彼ら(偽信者*たち)は、言った。「もし戦いが(本当にあることが)分かれば、あなた方について行ったのだが[1]」。彼らはその日、信仰よりも不信仰の方に近かった。彼らは自分たちの心にもないことを、口先で言っているのだ。アッラー*は、彼らが隠していることを最もよくご存知である。

(彼ら偽信者*たちは、出征せずに)留まりつつ、彼らの同胞[1]に、「もし彼らが私たちに従っていたら、殺されなかったのに」などと言った者たち。(使徒*よ、)言ってやるがいい。「では、自分自身から死を押しのけてみよ。もし、あなた方が真実を語っているのならば」。

(預言者*よ、)アッラー*の道において殺された者たちを、決して死人だなどと思ってはならない。いや、彼らは、彼らの主*の御許で生きており、糧を授かっているのだ。[1]

彼らは、アッラー*がそのご恩寵から彼らにお授けになったものに喜び、その後方でまだ自分たちは追いついてはいない(、アッラー*の道に戦う)者たち(が同様のものを勝ち取ること)に、心躍らされている。彼らには怖れもなければ、悲しむこともないのだ[1]、と。

彼らはアッラー*からの恩恵と恩寵に、そしてアッラー*が信仰者たちへの褒美を決して無駄にされないということに、心躍らせている。

(彼らは戦いで)痛手を負った後でも、アッラー*と使徒*(の呼びかけ)に応えた者たち[1]。彼らの内、善を尽くし[2]敬虔だった*者たちには、この上ない褒美がある。

(彼らは、)人々が彼らに向かって「本当に人々(マッカ*軍)は、あなた方のために既に集結している。だから、彼らを恐れよ」[1]と言った後、(却って)それが彼らの信仰心を増大させ、(こう)言った者たち。「私たちには、アッラー*だけで十分。全てを請け負われる*お方は、何と素晴らしいことか」。

こうして彼らは何の災厄も降りかかることなく、アッラー*からの恩恵と恩寵と共に(マディーナ*に)帰還した。彼らは、アッラー*のお喜びを追求し(て服従し)たのである。アッラー*は、偉大な恩寵の主であられる。

実にあの者[1]は、その盟友に対して(あなた方を)怖気づかせるシャイターン*なのだ。ならば、彼らを、怖れず、われを怖れよ。もし、あなた方が信仰者であるならば。

(使徒*よ、)不信仰に急ぐ者たちが、あなたを悲しませるようであってはならない。本当に彼らは、少しもアッラー*を害することなどないのだから。アッラー*は来世において、彼らに(褒美の)分け前など与えないことをお望みなのである。そして彼らには、この上ない懲罰があるのだ。

本当に、信仰と引き換えに不信仰をか買った者たちは、少しもアッラー*を害することなどない。そして彼らには、痛ましい懲罰がある。

不信仰に陥った者*たちは、われら*が彼らに(懲罰を下さず)猶予を与えてやっていることを、自分たちにとって善いことなどと断じて思ってはならない。われらは、彼らが自分たちに罪を上乗せさせるべく、猶予を与えてやっているに外ならないのだから。そして彼らには、屈辱的な懲罰がある。

アッラー*は、悪質なものを良質なもの[1]から選り分けられるまでは、信仰者たちを(今の)あなた方のような状況のまま、放ったらかしにはされない。また(信仰者たちよ、)アッラー*は不可視の世界*のことを、あなた方に知らせることもされない。だがアッラー*は、ご自身の使徒*たちの中から、かれがお望みになる者を選ばれ(、啓示によってその一部をお教えにな)るのだ[2]。ならばあなた方は、アッラー*とその使徒*たちを信じよ。もしあなた方が信じ、(アッラー*を)畏れる*のなら、あなた方には偉大な褒美がある。

また、アッラー*がそのご恩寵から授けて下さったものを出し惜しみする者は、それが自分たちにとってより善いことだなどと、絶対に思ってはならない。いや、彼らにとって、もっと悪いことである。彼らが出し惜しみしていた物は復活の日*、彼らの首に巻き付けられるのだ[1]。諸天と大地の遺産はアッラー*にこそ属する[2]。そしてアッラー*は、あなた方の行うこと(全て)に通暁されるお方。

「実にアッラー*が貧しく、私たちが豊なのだ」などと言った者たちの言葉を、アッラー*は確かにお聞きになった[1]。われら*は彼らの言ったことと、彼らが預言者*たちを不当に殺害したこと[2]を記録しておこう。そしてわれら*は(来世で、地獄の中にいる彼らに)言うのだ。「烈火の懲罰を味わえ」。

それは、あなた自身が(現世で)行ったことゆえ(の報い)である。そしてアッラー*はその僕たちに対する、不正*者などではないのだ。

(彼らユダヤ教徒*たちは、)「本当に、アッラー*は私たちに(トーラー*の中で)、いかなる使徒*も信じてはならない、と命じられたのだ。その者が私たちのもとに、火が(天から落ちてきて)焼き尽くすことになる、供え物を携えて来ない限りは[1]」と言った者たち。(使徒*よ、彼らに)言ってやるがよい。「私以前にも、使徒*たちは明証[2]とあなた方の言っているものを携えて、確かにあなた方(の先祖)のもとに到来した。それなのに、どうしてあなた方(の先祖)は彼らを殺害したのか?もし、あなた方が本当のことを言っているというのなら」。

そして(使徒*よ)、もし彼ら(ユダヤ教徒*たち)があなたを嘘つき呼ばわりしたとしても、明証や書巻や光明の書[1]を携えてあなた以前に到来した使徒*たちも(また)、確かに嘘つき呼ばわりされたのである。

全ての者は、死を味わう。そして復活の日*、あなた方は(現世での行いに対する)自分たちの褒美を、余すことなく授かるのだ。それで、誰でも(地獄の)業火から遠ざけられ、天国に入れられた者は、確かに(自分が望む最高のものを)勝ち取ったのである。現世の生活は、偽りの楽しみに過ぎない。

(信仰者たちよ、)あなた方は、自分たちの財産やあなた方自身において、必ずや試練を受けよう[1]。また、あなた方以前に啓典を授けられた者*たちや、シルク*を犯す者たちから、多くの聞くに堪えないことを、必ずや耳にしよう。そして、もしあなた方が(それらのことに)忍耐*し、(主*を)畏れる*なら、それこそはあなた方が決意を固めるべき事柄の内のものなのである。

(かつて)アッラー*が、啓典を授けられた者*たちの確約をお取りになった時のこと(を、思い起こしてみよ)。(かれは仰せられた。)「あなた方は必ずや、それ(啓典)を人々に明らかにし、絶対にそれを隠蔽したりしてはならない」。すると彼らはそれを背後に放り捨て、それと引き換えに僅かな代価を買った[1]。彼らが買う物の、何と醜悪なことか。

あなた[1]は絶対に、自分たちが行った(悪)事に有頂天な者たちや、自分たちがしてもいないことにおいて褒められることを喜ぶ者たちのことなどを、考えてはならない。彼らが懲罰を免れるなどとは、決して考えてはならないのだ。彼らには、痛ましい懲罰がある。

諸天と大地の王権は、アッラー*にこそ属する。アッラー*は、全てのことがお出来になるお方。

本当に、諸天と大地の創造と夜と昼の交代の中には、澄んだ知性の持ち主たちへの(、アッラーの唯一性*を示す)御徴がある。

(彼らは)立ち、座り、横になりつつアッラー*を唱念し、諸天と大地の創造を熟考する者たち。(彼らは言う。)「我らが主*よ、あなたはこれらを無意味にお創りになったのではありません[1]——あなたに称え*あれ!——。ゆえに私たちを、(地獄の)業火の懲罰からお守り下さい。

我らが主*よ、本当にあなたが誰かを(その罪ゆえに、地獄の)業火に放り込まれるのなら、あなたは確かにその者を辱められたのです。不正*者たちには(復活の日*)、いかなる援助者もありません。

我らが主*よ、本当に私たちは、信仰へと招く者が、『あなた方の主*を信じよ』と呼びかけるのを聞いて、信仰に入りました。我らが主*よ、ですから私たちのために私たちの罪をお赦しになり、私たちの悪行を帳消しにし、私たちを善行者たちと共にお召し下さい。

我らが主*よ、また、あなたの使徒*たち(の言葉)によって私たちに約束されたもの[1]を、私たちにお授け下さい。そして復活の日*に、私たちを辱めないで下さい。本当にあなたは、約束をお破りにはならないのですから」。

彼らの主*は、彼ら(の祈り)に(こう)お応えになられた。「本当にわれは、男女の別なく、あなた方の内の(正しい)行いをする者の行いを、無駄にはしない——あなた方は、互いに同等なのである——。移住*し、故郷から追放され、わが道のために迫害され、戦い、殺された者たち、われは必ずや彼らのためにその悪行を帳消しにし、その下から河川が流れる楽園に入らせよう。アッラー*の御許からの褒美として。アッラー*の御許にこそ、よき褒美はあるのだ」。

(使徒*よ、)あなた[1]は、不信仰に陥った者*たちが地上で(商売や旅行などに)勤しんでいることに、決して惑わされてはならない。

(それは一時の)僅かな楽しみで、やがて彼らの住処は地獄となるのだから。その寝床は、何と醜悪なことか。

だが、自分たちの主*を畏れる*者たち、彼らにはその下から河川が流れ、そこに永遠に留まることになる楽園がある。アッラー*の御許からの御もてなしとして。アッラー*の御許にあるものは善行者たちにとって、(不信仰者*たちが現世で楽しんでいるもの)より善いものなのだ。

本当に啓典の民*の中にもまさに、アッラー*と、あなた方に下されたもの(クルアーン*)と自分たちに下されたものを、信じる者がいる。彼らはアッラー*に恭順[1]で、アッラー*の御徴と引き換えに僅かな代価を買ったりはしない[2]。それらの者たちには、彼らの主*の御許にその褒美がある。本当にアッラー*は、即座に計算されるお方なのだから。

信仰する者たちよ、(アッラー*への服従において)忍耐*し、(敵との)我慢比べに打ち勝ち、前線を守れ。そしてあなた方が成功するべく、アッラー*を畏れ*るのだ。