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The Noble Qur'an Encyclopedia

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The heights [Al-Araf] - Japanese translation - Saeed Sato

Surah The heights [Al-Araf] Ayah 206 Location Maccah Number 7

アリフ・ラーム・ミーム・サード[1]。

(使徒*よ、このクルアーン*は、)あなたに下された啓典。ならば、それで警告を告げ、信仰者たちへの教訓とするにあたって、あなたの胸の内にいかなる煩悶[1]があってもならない。

(人々よ、)あなた方の主*から、あなた方に下されたものに従うのだ。そして、かれをよそにして盟友たちに従うのではない[1]。あなた方が教訓を得ることの、少ないことよ。

一体われら*は、どれだけ多くの(不信仰者*の)町を滅ぼしてきたことか。そしてわれら*の猛威[1]は(夜)眠っている時でも、あるいは彼らが昼寝している間でも、彼らのもとに到来したのだ。

それでわれら*の猛威が彼らのもとに到来した時、彼らの言い分は、「本当に私たちは、不正*者でした」と言うだけのものだった。

われら*は必ずや、(使徒*らが)遣わされた者たちに尋ねよう。また必ずや、使徒*たちにも尋ねよう[1]。

それから必ずや知識を持って、(彼らが現世で行ったことについて、)彼らに語り聞かせよう。そして、われらはもとより(彼らに対する)不在者であったわけではない[1]。

(復活の)その日*、(行いの)重みは真実である。誰でも、自分の(善行の)秤が重かった者、それらの者たちこそは成功者である[1]。

そして誰でも、その(善行の)秤が軽かった者、それらの者たちは、われら*の御徴に不正*を働いた[1]ゆえに、自らを損ねた者たちである。

(人々よ、)われら*は確かに、あなた方に地上で力を授け、そこにあなた方のための生活の糧を設えた。あなた方が感謝することの、少ないことよ。

また、われら*は確かにあなた方(の父祖アーダム*)を創造し、それから形作り、それから天使*たちに(こう)言った。「アーダム*にサジダ*[1]せよ」。すると、彼らは(全員)サジダ*した。但しイブリース*は別で、彼はサジダ*する者たちの一人ではなかった。[2]

かれ(アッラー*)は、仰せられた。「われがあなたに命じた時、あなたがサジダ*するのを妨げたものは何なのか?」彼(イブリース*)は申し上げた。「私は彼(アーダム*)よりも優れています。あなたは私を火からお創りになり、彼のことは泥土[1]からお創りになったのですから」。[2]

かれは仰せられた。「ならば、そこ[1]から落ちてゆくがいい。あなたがそこで高慢になる筋合いは、ないのだから。そして出て行け。本当にあなたは、卑しい者の類いなのだ」。

彼は申し上げた。「彼らが蘇らされる日まで、私に猶予をお授けください」。

かれは仰せられた。「実にあなたは、(角笛に最初に吹き込まれる日[1]まで)猶予を与えられる者の一人である」。[2]

彼は申し上げた。「ならば、あなたが私を誤らせられたのですから、私は必ずやあなたのまっすぐな道(イスラーム*)において(誤らせるべく)、彼らに立ちはだかりましょう。

それから私は必ずや、彼らの前から、後ろから、右から、左から、彼らに到来しましょう[1]。そしてあなたは彼らの大半を、感謝する者として見出さないのです」。

かれは仰せられた。「叱責され、追放されつつ、そこから出て行くのだ。実に彼らの内であなたに従った者があれば、われはきっと(彼らを含めた)あなた方全員で、地獄を満たすであろう」。

「アーダム*よ、あなたとあなたの妻は楽園[1]に住み、どこでも望む所から食べるがよい。そして、この木[2]には近づいて(その実を食べて)はならない。そうすればあなた方二人は、不正*者の類いになってしまうから」。

そしてシャイターン*は、彼ら二人の隠されていた恥部(アウラ*)を彼ら自身に露わにすべく、二人を唆して言った。「あなた方の主*があなた方にこの木を禁じられたのは、あなた方が天使*になるか、あるいは永遠なる(生を得る)者の仲間とならないようにするために外ならない」。

そして彼は、二人に向かって(こう)誓った。「本当に私はまさしく、あなた方二人に対する忠告者である」。

こうして彼は、偽りによって二人を陥れた。そして二人が木(の実)を味わった時、その恥部(アウラ*)は彼ら自身に露わになり、彼らは楽園の葉を自分自身(の恥部)に当て始めた[1]。そして彼らの主*は二人に呼びかけられ、(こう)仰せられた。「われはあの木を、あなた方に禁じたのではなかったか?そしてあなた方に、本当にシャイターン*はあなた方にとっての紛れもない敵である、と言わなかったのか?」

二人は申し上げた。「我らが主*よ、私たちは自分自身に不正*を犯しました。そしてあなたが私たちをお赦しになり、ご慈悲をかけて下さらなければ、私たちは間違いなく損失者の類いとなってしまいます」。[1]

かれは仰せられた。「あなた方は(シャイターン*と)互いに敵となって、(楽園から)落ちて行け。そしてあなた方には地上で暫しの[1]住まいと楽しみがある」。

かれは仰せられた。「あなた方はそこで生き、そこで死に、そしてそこから(復活の日*、蘇らされるために)出されるのだ」。

アーダム*の子ら(人類)よ、われら*はあなた方に、自分たちの恥部(アウラ*)を覆う衣服と、着飾るためのものを、確かに下した[1]。そして敬虔さ*の衣こそが、より善いのである。それは彼らが教訓を得るようにとの、アッラー*の御徴[2]の一つなのだ。

アーダム*の子らよ、シャイターン*が(罪への誘惑によって)、あなた方を試練にかけるようなことがあっては、決してならない。彼があなた方の先祖二人を、その恥部(アウラ*)を彼ら自身に露わにすべく、その衣服を彼らから剥ぎ取り、楽園から追い出してしまったように。まさに彼とその徒党は、あなた方が彼らを見ることの出来ない所から、あなた方を見ているのだぞ。本当にわれら*はシャイターン*たちを、信仰しない者たちの盟友としたのである。

また彼ら(信仰しない者たち)は、自分たちが醜行[1]を行った時には、(こう)言った。「私たちは、私たちのご先祖様が、このようにするのを見出したのだ。アッラー*が、それを私たちにご命じになったのである」。(使徒*よ、)言ってやるがいい。「本当にアッラー*は、醜行をご命じにはならない。一体あなた方はアッラー*に対して、自分たちが知りもしないことを言うのか?」

(使徒*よ、)言うがよい。「我が主*は、公正をご命じになった。そしてあなた方は、いかなるマスジド*でも自分たちの顔を正し[1]、かれに祈れ。かれだけに真摯に崇拝*行為を捧げつつ[2]。かれがあなた方(の創造)を始め給うたように、あなた方は(死後の復活へと)戻るのだから」。

(アッラー*は人々を二つの集団にお分けになった。)かれがお導きになった集団と、迷妄が確定した集団。本当に彼らは、アッラー*をよそにシャイターン*らを盟友とし、自分たちが導かれた者だと思い込んでいる。

アーダム*の子らよ、いかなるマスジド*でも、自分たちの飾りを(身に)着けよ[1]。また、飲みかつ食べるのだ。そして度を越してはいけない[2]。本当にかれは、度を越す者をお好きにはならないのだから。

(使徒*よ、シルク*の徒に)言ってやるがいい。「かれ(アッラー*)がその僕たちのために出し給うたアッラー*の装飾品と、糧の内の善きものを禁じたのは、一体誰なのか?」言うのだ。「それらは現世の生活において、信仰する者たち(と、それ以外の者たち)のためのものであり、復活の日*には(信仰者たちの)専有物となる」。同様にわれらは、知識ある民に御徴を詳らかにするのである。

(使徒*よ、)言ってやるがいい。「我が主*は、(次のことを)まさに禁じられた。醜行の内の露わなものと、秘められたもの。罪悪。不当な侵害[1]。あなた方がアッラー*に対し、かれがそこにおいて[2]、いかなる根拠も下されてはいないものを並べ(て崇め)ること。あなた方がアッラー*に対し、自分たちが知りもしないことを語ること」。

いかなる(不信仰な)共同体にも、(定められた)期限[1]がある。そして彼らの期限が訪れれば、(彼らはそれを)一刻たりとも遅らせたり、早めたりすることはない」。

アーダム*の子らよ、もしもあなた方の内から、あなた方にわが御徴(アーヤ*)を読み聞かせる使徒*たちが、あなた方のもとに到来した時、誰であれ(アッラー*を)畏れ*、(行いを)正した者、その者たちには怖れもなければ、悲しむこともない[1]。

そしてわれら*の御徴を嘘呼ばわりし、それに対して奢り高ぶる者たち、それらの者たちは業火の住人である。彼らはそこに、永遠に留まるのだ。

ならば一体、アッラー*に対して嘘を捏造したり、その御徴を嘘呼ばわりしたりする者よりも、ひどい不正*を働く者があろうか?それらの者たちには(現世で)、書[1](に記されてあるもの)からの、自分たちの分け前[2]が訪れよう。やがて、われら*の使いたち[3]が彼ら(不正*者たちの魂)を召すべく、彼らのもとを訪れると、彼ら(使いたち)は(、こう)言う。「あなた方が、アッラー*を差しおいて祈っていたものはどこか?」彼らは言う。「(それらは)私たちのもとから、喪失してしまいました」。彼らは、自分たちが不信仰者*だったことを、自らに対して証言することになるのである。

かれ(アッラー*)は仰せられる。「あなた方以前に滅びたジン*と人間からなる(、不信仰だった)共同体と共に、業火の中に入れ」。ある共同体が(地獄に)入って来るたび、それはその(先代である)仲間を呪う[1]。やがて彼らがそこに勢揃いすると、彼らの内の後代の者たちは、その先代に関して(アッラー*に訴えつつ、こう)言う。「我らが主*よ、これらの者たちが私たちを(真理から)迷わせたのです。ゆえに彼らには、業火による倍の懲罰をお与え下さい」。かれは仰せられる。「(あなた方と彼ら)全員に、倍のものがある。しかしあなた方は、分かっていないのだ[2]」。

そして、彼らの内の先代はその後代の者たちに、(こう)言う。「ならば、あなた方が(懲罰において、)私たちよりもましというわけではない」。(アッラー*は、彼ら全員に仰せられる。)「では、あなた方が稼いでいたもの(罪)ゆえに、懲罰を味わうがよい」。[1]

本当にわれら*の御徴[1]を嘘呼ばわりし、それに対して奢り高ぶる者たち、彼らには天の門が開き放たれることはない[2]。そして彼らは、ラクダが針の穴を通るまで、天国に入ることはないのだ。同様にわれら*は、罪悪者たちに報いるのである。

彼らには地獄の寝床があり、その頭上からは(炎の)覆いがある。そのようにわれら*は、不正*者たちに報いるのだ。

信仰し、正しい行い*を行う者たちーーわれら*は人に、その能力以上のものを負わせないーー、それらの者たちは天国の民となる。彼らはそこに永遠に留まるのだ。

また、われら*は彼らの胸中にある、憎しみの念を一掃する[1]。彼らの下からは河川が流れており、彼らは(こう)言うのだ。「私たちをここへと導いて下さったアッラー*に、称賛*あれ。私たちは導かれるべくもなかったのだ、もしアッラー*が私たちをお導き下さらなかったならば。我らが主*の使徒*たちは真理と共に、確かに到来したのである」。そして、彼らには呼びかけられる。「その天国は、あなた方が行っていたことゆえ、あなた方に引き継がされた[2]のだ」。

天国の民は、地獄の民に(こう)呼びかける。「私たちは確かに、我らが主*が私たちに約束されたものが真実だと見出した。それであなた方は、あなた方の主*があなた方に約束されたものが真実だと見出したのか?」彼ら(地獄の民)は言う。「えぇ(、見出しましたとも)」。そして呼びかける。「不正*者たちにアッラー*の呪い[1]あれ」。

(彼らは、自分たちと人々を)アッラー*の道から阻み、それ(その道)を捻じ曲げようとする者たち。そして彼らは、来世を否定する者たちなのである。

(天国の民と地獄の民の)両者の間には、障壁[1]がある。そして高壁の上には、(両者)いずれのことも、その目印によって知る者たちがいる[2]。彼らは天国の民に、(こう)呼びかける。「あなた方に平安を[3]」。彼ら(高壁の民)は、(自分たちも天国に入ることを)所望しつつも、(まだ)そこに入れずにいる。

また、彼ら(高壁の民)の目が地獄の民の方に向けられると、彼らは(こう)言う。「我らが主*よ、私たちを不正*者である民と一緒にはしないで下さい!」

また高壁の民は、その目印によって知る者たち[1]に呼びかけ、(こう)言う。「あなた方が(現世で)集めていたものも、あなた方が思い上がっていたこと[2]も、(この日、)自分自身の役に立たなかったではないか?

一体これらの者たち[1]は、あなた方が『アッラー*が彼らを、そのご慈悲に与らせること[2]などではない』と、誓っていた者たちではないのか?」(アッラー*は仰せられる。)「(高壁の民よ、)天国に入るがよい。あなた方には怖れもなければ、悲しむこともない[3]」。

地獄の民は、天国の民に呼びかける。「私たちの上に、水をいくらか注いでくれ!あるいは、アッラー*があなた方に授けて下さった糧の内から(、何かを)!」彼ら(天国の民)は言う。「実にアッラー*は不信仰者*たちに、それらを禁じられたのだ。

(彼らは、)自分たちの宗教を戯れごとや遊興とし、現世の生活に欺かれた者たち」。今日われら*は彼らが自分たちの(復活の)この日の拝謁を忘れ、われら*の御徴を否定していたように、彼らのことを忘れてやろう[1]。

われら*は彼ら(不信仰者)に、われら*が知識と共に明らかにした、信仰する民への導き、慈悲である啓典(クルアーン*)を、確かにもたらしたのだ。

一体彼らは、その結末[1]を待っているだけなのか?その結末がやって来る(復活の)日*、以前それを忘れていた者たち[2]は、(こう)言うのだ。「我らが主*の使徒*たちは、真理と共に確かに到来しました。では、私たちに誰か(アッラー*の御許での)執り成し手がおり、それで彼らは私たちに執り成してくれるでしょうか?[3]あるいは私たちは(現世に)戻されて、私たちが行っていたものとは違う(善い)行いをする(ことは、出来ます)でしょうか?[4]」彼らは確かに、自分自身を損ねたのである。そして彼らがでっち上げていたもの[5]は、彼らの前から消え失せてしまった。

本当にあなた方の主*は、諸天の大地を六日間で創造され[1]、それから御座に上がられた[2]アッラー*である。かれは夜を昼に覆わせられ(、昼を夜にお入れにな)る[3]。それは(互いに)相手をせわしなく求める⁴。また(かれは)太陽も月も星々も、そのご命令によって(かれがお望みの者に)奉仕させられるもの(として、お創りになった)。かれにこそ、(全ての)創造とご命令は属するのではないか?全創造物の主*アッラー*は、祝福にあふれたお方よ。

(信仰者よ、)あなた方の主*におそれ畏まりつつ、密かに祈るのだ。本当にかれは、度を超す者たちをお好きではないのだから。[1]

また地上で、(使徒*が遣わされて)そこが正された後、腐敗*働いてはならない。そして(アッラー*の懲罰を)怖れ、(その褒美を)望みつつ、かれに祈るのだ。本当にアッラー*のご慈悲は、善を尽くす者[1]たちの間近にあるのだから。

かれはそのご慈悲(雨)の前触れに、吉報を告げる風を送られるお方。やがてそれは(雨を湛えた)重厚な雲を運び、われら*はそれを死んだ大地[1]へと導く。そして、われら*はそれで(雨)水を降らせ、それによってあらゆる果実を生まれ出させる。同様にわれら*は、あなた方が教訓を得るようにと、死者を(蘇らせて墓から)引き出すのである。

善い土地は、その主*のお許しにより、その(善い)植物が生える。そして悪性のもの(、そこから)は粗悪なものしか生えない[1]。同様にわれらは感謝する民に対し、御徴を多彩に示すのだ。

われら*は確かに、ヌーフ*をその民に遣わした[1]。彼は言った。「我が民よ、アッラー*(のみ)を崇拝*するのだ。あなた方にはかれの外に、崇拝*すべきものなどない。本当に私は、あなた方に対し、偉大な(復活の)日の懲罰(が襲いかかるの)を怖れているのだ」。

彼の民の内の、有力者たちは言った。「(ヌーフ*よ、)本当に私たちはまさに、あなたが紛れもない迷いの中にあると思う」。

彼(ヌーフ*)は言った。「我が民よ、私は迷ってなどいない。だが私は、全創造物の主*からの使徒*なのだ。

私は我が主*のお言伝をあなた方に伝え、あなた方に忠言する。そして私はアッラー*によって、あなた方が知らないことを知っているのだ。

一体あなた方は、自分たちの主*からの教訓が、自分たちの内の一人の男に到来したことを、驚いているのか?(それは)彼があなた方に警告し、あなた方が畏れ*、そしてあなた方が慈しまれるように、とのためなのだ」。

そして彼らは彼(ヌーフ*)を嘘つき呼ばわりし、われら*は彼と、彼と共にあった者たちを船で救い、われら*の御徴を嘘呼ばわりし、した者たちを溺れさせた。本当に彼らは、盲目[1]の民だったのだから。

またアード*には、その同胞フード*を(遣わした)[1]。彼は言った。「我が民よ、アッラー*(のみ)を崇拝*するのだ。あなた方にはかれの外に、崇拝*すべきものなどない。一体、あなた方は(アッラー*を)畏れ*ないのか?」

彼の民の内の、不信仰だった有力者たちは言った。「(フード*よ、)本当に私たちは、まさにあなたが愚かさの中にあると思う。そして本当に私たちは、あなたがまさしく嘘つきの類いだと思うのだ」。

彼(フード)は言った。「我が民よ、私は愚か者ではない。だが私は、全創造物の主*からの使徒*なのだ。

私は我が主*のお言伝をあなた方に伝える。私は、あなた方への誠実なる忠告者なのだ。

一体あなた方は、あなた方の主*からの教訓が、あなた方に(アッラー*の懲罰を)警告すべく、自分たちの内の一人の男に到来したことを驚いているのか?かれ(アッラー*)があなた方をヌーフ*の民の後の継承者とされ、あなた方の肉体に強大さを上乗せされたことを、思い起こすがよい。ならば、あなた方が成功するよう、アッラー*の恩徳を思い出すのだ」。

彼らは言った。「(フード*よ、)あなたは、私たちにアッラー*だけを崇拝*させ、私たちのご先祖様が崇めていたものを捨て去らせるためにやって来たのか?ならば、あなたが私たちに約束するもの[1]を、私たちにもたらしてみよ。もしあなたが、正直者の類いであるというならば(、だが)」。

彼(フード*)は言った。「あなた方の主*からの穢れ[1]とお怒りは、あなた方に対して既に下っている。一体あなた方は、自分たちと自分たちの先祖が名付けた名前[2]において、私と議論すると言うのか?アッラー*はそれら(の崇拝*)に、いかなる(正当な)根拠も下されなかったのだ。ならば、あなた方は(自分たちに懲罰が下るのを)待つがよい。実に私も、あなた方と共に(それを)待つ者の一人となるから」。

こうしてわれら*は、われら*の御許からの慈悲により、彼と彼と共にあった者たちを救い、われら*の御徴を嘘とし、信仰者ではなかった者たちを一人残さず根こそぎにした。

またサムード*には、その同胞サーリフ*を(遣わした)[1]。彼は言った。「我が民よ、アッラー*(のみ)を崇拝*するのだ。あなた方にはかれの外に、崇拝*すべきものなどない。あなた方の主*からの明証[2]は、確かにあなた方のもとにやって来たのだ。これはあなた方への御徴としての、アッラー*の雌ラクダ[3]である。ゆえにそれを放っておき、アッラー*の地で食べるがままにさせよ。そして、それに害を及ぼすことで、自分たちに痛烈な懲罰を襲いかからせてはならない。[4]

また、かれ(アッラー*)があなた方をアード*の後の継承者とされ、あなた方をその地に住まわせたことを思い起こすのだ。あなた方はその平地を城郭とし、山をくりぬいて住居としている。ならば、アッラー*の恩徳を思い出すのだ。腐敗*を働く者となって、地上で退廃を広めてはならない」。

彼の民の内の高慢だった有力者たちは、抑圧された者たちである。彼らの内の信仰した者に言った。「一体あなた方は、サーリフ*がその主*から遣わされた者だと(実際に)知っているのか?」彼ら(信仰者たち)は言った。「私たちこそは、彼が携えて遣わされたものへの、信仰者なのです」。

高慢だった者たちは言った。「私たちこそは、あなた方が信じたものに対する否定者である」。

こうして彼らは雌ラクダの腱を切り[1]、自分たちの主*のご命令に反抗して[2]、(こう)言った。「サーリフ*よ、あなたが私たちに約束するもの(懲罰)を、もたらしてみよ。もしあなたが、使徒*の一人であるならば(、だが)」。

こうして彼らを激震が捕らえ[1]、彼らは朝、その地で突っ伏して(死んで)いた。

そして彼(サーリフ*)は彼らのもとを去り、(こう)言った[1]。「我が民よ、私は確かにあなた方に我が主*のお言伝を伝え、あなた方に忠告したぞ。しかしあなた方は、忠告者たちを好まないのだ」。

また、ルート*がその民に(こう)言った時のこと(を思い出すのだ)[1]。「一体あなた方は、全創造物のいかなる者もあなた方以前には行わなかった醜行[2]に、手を染めるというのか?

本当にあなた方は女性を差しおいて、欲望ゆえに男性に赴こうとしている[1]。いや、あなた方は度を越した民である」。

彼の民の答えは、(このように)言うことだけであった。「彼らをあなた方の町[1]から追放するのだ。本当に彼らは、潔癖ぶった人々なのだから」。

こうしてわれら*は彼と、彼の妻を除くその家族を救った。彼女は残っ(て滅ぼされ)た者たちの一人となった。

そしてわれら*は、彼らの上に(石の)雨を降り注いだ。罪悪者たちの結末が、いかなるものだったかを見るがよい。

またマドゥヤン*には、その同胞シュアイブ*を(遣わした)[1]。彼は言った。「我が民よ、アッラー*(のみ)を崇拝*するのだ。あなた方にはかれの外に、崇拝*すべきものなどない。あなた方の主*からの明証[2]は、確かにあなた方のもとにやって来たのだ。ならば升と秤[3]を全うし、人々に対し、彼らのもの(権利)を損ねてはならない。また地上で、(使徒*が遣わされて)そこが正された後、腐敗*を働いてはならない。それが、あなた方にとってより善いのである。もし、あなた方が信仰者であるというならば(、だが)。

また(人々を)威嚇し、アッラー*を信仰した者をかれの道から阻み、それを捻じ曲げようとして、道々に立ちはだかったりしてはならない。そしてあなた方が(以前)無勢だったのを、かれが増やして下さった時のことを思い出すのだ。そして腐敗を働く者たちの結末がいかなるものだったかを、見るがよい。

もしあなた方の内の一派が、私が携えて遣わされたものを信じ、別の一派が信じなかったとしても、アッラー*が私たちの間にご裁決[1]を下されるまで忍耐*するのだ。かれは裁き手の内でも、最善のお方なのだから」。

彼の民の内、(信仰に対して)高慢だった有力者たちは言った。「シュアイブ*よ、私たちは必ずやあなたと、あなたと共に信仰した者たちを、私たちの町から追放しよう。さもなくば、あなた方は絶対に私たちの宗教に戻るのだ」。彼(シュアイブ*)は言った。「たとえ私たちが、(そのような宗教を)毛嫌いしていたとしてもか?

アッラー*が私たちをそこからお救い下さった後、あなた方の宗教に戻ったりしたら、私たちはアッラー*に対してまさに嘘を捏造したことになってしまう。そして我らが主*アッラー*が(そう)お望みにならない限り、私たちがそこに戻ることはあり得ない。我らが主*は(その)知識で、全てのものを網羅されているのだから。私たちは、アッラー*のみに全てを委ね*た、我らが主よ、私たちと我らが民の間を真理によってご裁決下さい。あなたは裁決者の中でも、最善のお方であられます」。

彼の民の内、不信仰であった有力者たちは言った。「もしもシュアイブ*に従ったら、そうすれば実にあなた方は、まさしく損失者となろう」。

そして彼らを激震が捕らえ[1]、彼らは朝、その地で突っ伏して(死んで)いた。

シュアイブ*を嘘つき呼ばわりした者たちは、あたかもそこに暮らしてはいなかったかのようであった[1]。シュアイブ*を嘘つき呼ばわりした者たちこそが、損失者だったのである。

そして彼(シュアイブ*)は彼らのもとを去り、(こう)言った。「我が民よ、私は確かにあなた方に我が主*のお言伝を伝え、あなた方に忠告したぞ。ならば、どうして不信仰な民のことで、私が心痛ませることがあろうか?」

われら*が預言者を町に遣わす時[1]には決まって、その住民を困窮や災難で捕えたものだった。(それは)彼らが、おそれ畏まるようにするためだったのだ。

それからわれら*は、逆境を順境にとって換えた。やがて彼らが(身体的にも経済的にも)潤い、「私たちのご先祖様たちにも確かに、災難と順境が訪れたものなのだ[1]」などと言い出したところで、われら*は彼らが気付かぬ内に突然、彼らを懲罰で捕えたのだ。

そして、もし町々の住民が信仰し畏れ*たなら、われら*は彼らに天と地からの祝福[1]を解き放っただろう。しかし彼らは、(われら*の使徒*らを)嘘つき呼ばわりした。ゆえにわれら*は、彼らが稼いでいたもの[2]ゆえ、彼らを(罰で)捕らえたのだ。

一体、(不信仰な)町々の住民は、彼らが(夜)眠っている間に、われら*の猛威[1]が彼らにやってこないと安心していたのか?

また一体、(不信仰な)町々の住民は、彼らが朝ふざけている時に、われら*の猛威が彼らにやってこないと安心していたのか?

一体、彼らはアッラー*の策謀[1]から安全だとでもいうのか?(彼らは間違えている、)というのもアッラー*の策謀から安全だと思い込むのは、損失者である民に外ならないのだから。

(過去の)その住民の(滅亡)後、その地を引き継ぐ者たちには、まだ明らかになっていないのか?もしわれら*が望めば(彼らの先人たちと同様)、その罪ゆえに彼らを(罰によって)掌握したのだということが?われら*はその心を閉じ、それで彼らは聞こえなくなってしまったのだ[1]。

それらの町々、われら*はそれらの消息の内から、(使徒*よ、)あなたに語って聞かせる。彼らの使徒*たちは明証[1]を携えて、彼らのもとに確かに到来したが、彼らは以前に(真理を)嘘呼ばわりしていたことゆえ、(使徒*たちのもたらしたものを)信じるべくもなかった[2]。同様に、アッラー*は不信仰者*たちの心を閉じてしまう[3]のである。

またわれら*は、彼らの大半に契約[1](の遵守)を見出さなかった。そして実にわれらは、彼らの大半がまさしく放逸な者たちであることを見出したのである。

それからわれら*は彼らの後、ムーサー*をわれら*の御徴と共に、フィルアウン*とその(配下の)有力者たちに遣わした。そして彼らは、それらに対して不正*を働いた[1]。ならば腐敗*を働く者たちの結末がいかなるものだったかを、見てみるがよい。

ムーサー*は言った。「フィルアウン*よ、私はまさに全創造物の主*からの使徒*です。

私はアッラー*に対し、真実以外は喋らないことが相応しいのです。私はあなた方に対して確かに、あなた方の主*からの明証を携えて来ました。ならばイスラーイールの子ら*を、私と共に自由にして下さい[1]」。

彼(フィルアウン*)は言った。「もしあなたが御徴を携えて来たというのなら、それを披露してみよ。もし、あなたが本当のことを言っているというのならば(、だが)」。

それで彼(ムーサー*)は、自分の杖を投げた。すると、どうであろう、それは紛れもない一匹の大蛇となった。

また、彼が自分の手を(懐に入れてから)出すと、どうだろう、それは観衆(の前)に白くなって現れた。

フィルアウン*の民の内の有力者たちは、言った。「本当にこれは、まさに習熟した魔術師です。

彼はあなた方を、あなた方の土地から追い出そうとの魂胆なのです」。(フィルアウン*は、有力者たちに言った。)「あなた方は、私に何を命じるのか?」

彼ら(有力者たち)は、言った。「彼とその兄(ハールーン*)[1]のことは後回しにされて、(ムーサー*に対抗するための魔術師たちを)召集する者たち(兵隊)を、町々にお遣わし下さい。

(そうすれば、)彼らはあなたのもとに、あらゆる習熟した魔術師を参上させることでしょう」。[1]

そして、魔術師たちはフィルアウン*のもとに到着した。彼らは言った。「本当に私たちには、まさしくご褒美があります(でしょうか)。もし、私たちが(ムーサー*に)勝利したならば」。

彼(フィルアウン*)は言った。「あぁ。そして本当にあなた方は、きっと(我が)側近の仲間となろう」。

彼ら(魔術師たち)は、言った。「ムーサー*よ、あなたが(先に杖を)投げるか、それとも私たちが(杖を)投げる者となるか?」

彼(ムーサー*)は、言った。「あなた方が投げるがよい」。それで彼らが(縄や杖を)投げた時、彼らは人々の目に魔術をかけ[1]、彼らを戦慄させた。そして彼らは大変な魔術を披露したのだ。

われら*は、ムーサー*に啓示した。「あなたの杖を投げよ」。そして(彼がそうすると)、どうであろう、それは彼らがまやかすものを呑み込んでしまう。

こうして真実は明らかになり、彼らの行っていたことは無駄になった。

そして彼ら(フィルアウン*とその仲間たち)はそこで敗北を喫し、惨めに引き下がり、

魔術師たちは、サジダ*しつつ崩れ落ちた[1]。

彼ら(魔術師たち)は、言った。「私たちは全創造物の主*を信じました。

ムーサー*とハールーン*の主を」。

フィルアウン*は(魔術師たちに)、言った。「私があなた方に許可を出す前に、あなた方は信じた(のか)。本当にこれはまさしく、あなた方が町で、その住民をそこから追放すべく企んだ策謀である。ならば、あなた方はきっと(自分たちが受ける罰を、)知ることになろう。

彼ら(魔術師たち)は言った。「実に私たちは、我らが主*の御許へと戻り行く身なのです。

そしてあなたが私たちを咎めるのは、我らが主の御徴が到来した時、私たちがそれを信じたがゆえに外なりません。我らが主よ、私たちに(多くの)忍耐*をお注ぎ下さい。そして私たちを服従する者(ムスリム*)として、お召し下さい[1]」。

フィルアウン*の民の内の有力者たちは、(フィルアウン*に)言った。「一体あなたは、ムーサー*とその民が(エジプトの)地で腐敗*を働き[1]、あなたとあなたの神々[2](の崇拝*)を放棄するままにされるのですか?」彼(フィルアウン*)は言った。「私たちは彼らの男児は殺しまくり、女児は生かしておこう。本当に私たちは、彼らの上に君臨する者なのである」。[3]

ムーサー*はその民に言った。「アッラー*にご助力を乞い、忍耐*せよ。本当に大地は、アッラー*のものなのだから。かれはそれをその僕たちの内、かれがお望みの者に引き継がされるのである。そして(よき)結末は、敬虔*な者たちにあるのだ」。

彼ら(イスラーイールの子ら*)は、(ムーサー*に)言った。「私たちは、あなたが私たちのところに来る前も、あなたが私たちのところに来てからも、迫害されたのだ[1]」。彼(ムーサー*)は言った。「あなた方の主*は恐らく、あなた方の敵を滅ぼし、あなた方を(エジプトの)地における継承者[2]とされ、あなた方がいかに行うかをご覧になるであろう[3]」。

われら*はフィルアウン*の一族を、彼らが教訓を得るべく、旱魃と果実の不作(という試練)によって確かに捉えた。[1]

そして彼らは、自分たちに順境が訪れた時には、「私たちにこそ、これは(当然の権利として)属するのである」と言い、もし災難が彼らを襲えば、ムーサー*と彼と共にある者を、不吉がった[1]。本当に彼らの不吉のもとは、アッラー*の御許にある[2]のではないか。しかし彼らの大半は、分からないのだ。

彼らは言った。「私たちをそれで魔術にかけ(、フィルアウン*の宗教から背け)ようとして、どんな御徴を披露したとしても、私たちはあなたのことを信じたりはしないぞ」。

それでわれら*は彼らに洪水、イナゴ、虱、蛙、血を、断続的な御徴として送った[1]。すると彼らは(信仰に対して)奢り高ぶり、罪深い民であり続けたのだ。

そして彼らに(罰の)制裁が下された時、彼らは言った。「ムーサー*よ、私たちのため、あなたの主*に、かれがあなたに約束されたもの[1]で祈ってくれ。もしも、あなたが私たちからこの(罰の)制裁を取り除けてくれたなら、私たちは必ずやあなたのことを信じ、必ずやあなたと共にイスラーイールの子ら*を行かせてやろう」。

それで、彼らが行き着くことになっている(次の罰の到来)時期まで、われら*が彼らから(罰の)制裁を取り除けてやると、どうであろう、彼らは(約束を)破るのだ。

それで、われら*は(定められた彼らの破滅の時期が来た時、)彼らに報復し、彼らを海原に溺れさせた[1]。というのも、彼らはわれら*の御徴[2]を嘘呼ばわりし、それに対して無頓着な者たちだったからである。

われら*は抑圧されていた民(イスラーイールの子ら*)に、われら*が祝福したその土地[1]の東方と西方を引き継がせた。イスラーイールの子ら*に対するあなたの主*のよき御言葉[2]が、彼らが忍耐*したことゆえに完遂されたのだ。そして、われら*はフィルアウン*とその民が作り上げていたものと、築き上げていたもの[3]を破壊したのである。

われら*はイスラーイールの子ら*に海を渡らせた。そして彼らは、自分たちの偶像に奉仕し続ける民のところに出くわした。彼ら(イスラーイールの子ら*)は言った。「ムーサー*よ、彼らに神々[1]があるように、私たちにも神(の偶像)を一つ、こしらえてくれ」。彼(ムーサー*)は言った。「本当にあなた方は、無知な民である。

実にこれらの者たちは、(シルク*という)その状況が滅ぼされる(ことになる)のであり、その行っていたことは無に帰す(ことになる)のだから」。

彼(ムーサー*)は言った。「一体私が、あなた方に対し、アッラー*以外のものを神として欲するとでもいうのか?かれはあなた方を、全創造物の上にお引き立てになった[1]というのに」。

(イスラーイールの子ら*よ、)われら*があなた方を、フィルアウン*の一族から救い出した時のこと(を思い起こすがよい)。彼らはあなた方に過酷な懲罰を味わわせ、あなた方の男児は殺しまくり、女児は生かしておいた。そこには、あなた方の主*からの偉大な試練があったのだ。

われら*は、ムーサー*と三十夜を約束した。そしてわれら*は、それを(更なる)十夜で完遂し、彼の主*の定められた期間は四十夜[1]として完了した。ムーサー*はその兄ハールーン*に、(こう)言った。「(私の不在中、)我が民の中で私の代理を務めてくれ。そして(彼らの状態を)正すのであり、腐敗*を働く者たちの道に従ってはならない」。

そしてムーサー*がわれらの定めた時にやって来て、かれの主が彼に語り給うた[1]時、彼(ムーサー*)は申し上げた。「わが主よ、私に(お姿を)お見せ下さい。あなたを拝見しますから[2]」。かれは仰せられた。「あなたが、われをみることは出来ない。だが、その山を見るのだ。そして、もしそれがその場にしっかりと留まっているのなら、あなたはわれを見るであろう[3]」。それで、彼の主が山にお姿をお見せになると、かれはそれを粉々にされ、ムーサー*は気絶して倒れた。そして意識を取り戻すと、彼は申し上げた。「あなたに称え*あれ!私は、あなたに悔悟しました。そして私は、(我が民の内の)信仰者の先駆けです」。

かれは仰せられた。「ムーサー*よ、本当にわれは、わが言伝とわが言葉[1]で、あなたを人々の上に選りすぐった。ならば、われがあなたに授けたもの[2]を手にし(て、それを遵守し)、感謝する者の一人となるのだ」。

われら*は彼(ムーサー*)のため、(宗教において必要な)全ての物事を、つまり訓戒と、全てのものの詳細[1]を、碑板の中に記した。ならばそれを真摯に受け取り[2]、あなたの民に命じて、その最善のものを行わせよ[3]。じきにわれは、あなた方に放逸な者たちの住まいを見せてやるから[4]。

われら*は、不当にも地上で(われら*への服従に対し、そして人々に対し)奢り高ぶる者たちを、わが御徴[1](の理解)から遠のけてしまおう。そして彼らは、いかなる御徴を目にしても、それを信じることがない。また正しさの道を目にしても、それを道として選ぶこともない。そして誤りの道を目にすれば、それを道として選んでしまう。それというのも、彼らがわれら*の御徴を嘘とし、それに無頓着な者たちだったからなのである。

われら*の御徴と来世における拝謁を嘘呼ばわりする者は、その行いが台無しになってしまったのである。一体彼らが(来世で)報いを受けるのは、自分たちが(現世で)行っていたこと(によるもの)以外の、何ものでもないのではないか?

ムーサー*の民は彼の(アッラー*との約束のための出発)後、彼らの宝飾品から、実体があり、鳴き声を有する仔牛を作り出した[1]。一体彼らは、それが彼らに語りかけもしなければ、彼らを(よき)道に導きもしないことを知らなかったのか?彼らはそれを、(崇拝*の対象として)選んだのであり、彼らは不正*者だったのである。

そして(仔牛の崇拝を)後悔し[1]、自分たちが確かに迷い去っていたのを知ると、彼らは言った[2]。「もしも我らが主*が私たちにご慈悲をかけて下さらず、私たちをお赦しにならなければ、私たちは本当に損失者の類いとなってしまいます」。

ムーサー*は怒り、悲しみつつ、その民のもとに戻って来た時[1]、(こう)言った。「私の(出発)後に、あなた方が務めた我が代役の何と醜悪なことか。一体あなた方は、自分たちの主*の定めを急いだのか[2]?」彼は碑板を投げ[3]、彼の兄(ハールーン*)の頭をつかんで自分の方に引き寄せた。彼(ハールーン*)は言った。「我が母の息子[4]よ、本当に民は私を軽んじ、私を今にも殺さんばかりだったのだ。だから、私(に対してあなたがすること)ゆえに、敵を喜ばせたりしてはいけない。そして私を、不正*者である民と一緒にはしないでくれ」。

彼(ムーサー*)は申し上げた。「我が主*よ、私と我が兄をお赦し下さい。そして私たちを、あなたのご慈悲の中にお入れ下さい。あなたは慈悲深い者の中でも、最も慈悲深いお方です」。[1]

本当に仔牛を(崇拝*の対象として)選んだ者たち、彼らには、彼らの主*からのお怒りと、現世の生活における辱めが降りかかろう。同様にわれら*は、(宗教における)捏造者たちに報いるのである。

そして悪行を犯し、それからその(悪行の)後に悔悟して信仰する者たち、本当にあなたの主*はその(悔悟の)後、(彼らに対して)まさしく赦し深いお方、慈愛深い*お方であられる。

ムーサー*の怒りが沈まると、彼は碑板を(再び)手に取った。その写しには自分たちの主*こそ恐れる者たちへの導きと、ご慈悲がある。

そしてムーサー*はわれら*との約束の時[1]のため、彼の民から七十人の(秀でた)男たちを選んだ。そして彼らを激震が捕らえた[2]時、彼(ムーサー*)は申し上げた。「我が主*よ、もしあなたがお望みならば、あなたは彼らと私を(これ)以前に、(皆)滅亡させられたはずです[3]。一体あなたは、私たちの内の愚か者たちがしたことゆえに、私たちを滅ぼされるのですか? これは、あなたがそれによってあなたがお望みの者を迷わされ、あなたがお望みの者をお導きになる、あなたの試練に外なりません。あなたは私たちの庇護者*です。ですから私たちをお赦しになり、私たちにご慈悲をおかけ下さい。あなたは赦す者の内でも、最善のお方です。

また、私たちにこの現世において、善きものをお定め下さい。そして来世においても[1]。本当に私たちは、あなたに悔悟したのですから」。かれ(アッラー*)は仰せられた。「わが懲罰、われはそれで、われが望む者を襲うのだ。そしてわが慈悲は、あらゆるものに広く及んでいる。われは(われを)畏れ*、浄財*[2]を払う者たち、われら*の御徴を信じるその者たちに、それ(慈悲)を定めよう。

(その者たちとは、)彼ら(啓典の民*)が、自分たちのもとにあるトーラー*と福音*の中に記されているのを見出すところの、使徒*、文盲の預言者*[1]に従う者たち。彼は、彼らに善事を命じて悪事を禁じ[2]、善きものを合法として悪いものを非合法とする[3]。また彼は、彼らの上にのしかかっていた重課と枷を、彼らから取り除いてくれる[4]。彼を信仰し、敬い、援助して、彼と共に下された光[5]に従う者たち、それらの者たちこそは、成功者なのである」。

(使徒*よ、)言ってやるがいい。「人々よ、本当に私はあなた方全員への、アッラー*の使徒*である[1]。(アッラー*は、)かれにこそ諸天と大地の王権が属するお方。かれの外に、崇拝*すべきものなどはない。生を与え、死を与えられる(お方)。ならばアッラー*と、アッラー*とその御言葉を信じるその使徒*。文盲の預言者*を信じ、彼に従うのだ。あなた方が導かれるようにするために」。

そしてムーサー*の民の中にも、真理に(則り、それに)よって導き、それで正義を行う一派がある。

また、われら*は彼ら(イスラーイールの子ら*)を、十二支族の集団に分けた。そしてムーサー*に対し、その民が彼に水を乞うた時、われら*は「あなたの杖で、その石を叩くがよい」と啓示した。するとそこから十二の泉が湧き出た。(十二支族の)全ての人々は、確かに自分たちの水場を知った。また、われら*は雲々で彼らの上に日陰を作り、彼らのためにマンヌとウズラ[1]を下し(て、言っ)た。「われら*があなた方に授けた、よきものを食べよ[2]」。彼らがわれら*に不正*を働いたのではない。しかし彼らが、自分自身に不正*を働いたのである。

彼らに、(こう)言われた時のこと(を思い起すがよい)。「この町[1]に住み、そこでどこからでも食べるがよい。そして『(私たちが望むのは、罪の)免除です』と言って、身を低めつつ謹んで門に入るのだ。(そうすれば)われら*は、あなた方の過ちを赦してやる。われら*は善を尽くす者[2]たちには、更に(褒美を)上乗せしてやろう」。

すると彼らの内の不正*を働く者たちは、御言葉を自分たちに言われたのではないものと変えてしまった。そこでわれら*は、彼らが不正*を働いていたゆえに、彼らの上に天から(罰という)制裁を送ったのだ。[1]

また(使徒*よ、)、海に面していた町(の人々)について、彼ら(ユダヤ教徒*)に尋ねてみよ。彼らが、土曜(の安息)日に破った時[1]。彼らの土曜(の安息)日には、彼らの魚群が彼らのもとに大挙して水面までやって来たが、彼らが安息しない日には、それらが彼らのもとにやって来なかった時ののこと。そのようにわれらは彼らを、彼らが放逸であったことゆえに試みたのである。

また、彼らの一派が(こう)言った時のこと(を思い起こさせよ)。「なぜあなた方は、アッラー*が(現世で)破滅させるか、あるいは(来世において)厳しい罰で罰されようとする民を戒めるのか?」彼らは言った。「あなた方の主*に対する弁解ゆえ(、そうするのだ)。彼らが(アッラー*を)畏れる*ようにするためである」。[1]

それで彼らが戒められた物事を忘れてしまった時、われら*は悪を禁じる者たちを救い出し、不正*を働いた者たちを、彼らが放逸であったことゆえに惨憺たる懲罰で捕えた。

そして彼らが禁じられたことに反抗した時、われら*は彼らに言った。「惨めな猿になってしまえ[1]」。

また(使徒*よ、)あなたの主*が彼ら(ユダヤ教徒*)に対し、彼らに過酷な懲罰を味わわせる者を、復活の日*まで必ずや送(り続け)るということ[1]をお知らせになった時のこと(を、思い起こさせよ)。本当にあなたの主*はまさしく、即座に懲罰を下されるお方[2]であり、本当にかれは(悔悟する者に対して、)実に赦し深いお方、慈愛深い*お方なのだ。

またわれら*は地上において、彼ら(イスラーイールの子ら*)を数々の集団に分けた。彼らの内には正しい者*たち[1]もいれば、そうでない者たちもいる。そしてわれら*は彼らが(われら*に悔悟して)立ち返るべく、彼らを善きことと悪いこと[2]によって試練にかけたのである。

そして彼らの後に、啓典を引き継いだ愚かな後継者が到来した。彼らは現世のつまらぬ利益を(禁じられた手段で)手にし、(こう)言う。「私たちは赦されるであろう」。また、もしそれと同様の(禁じられた種類の)つまらぬ利益が彼らのもとにやって来れば、彼らはそれを(反省せずに)手にするのだ。一体彼らは、アッラー*に対して真実しか語らない、との啓典の確約[1]を取られたのではなかったか?そして彼らは、その内容を学んだ(上で、それに反した)のである。(アッラー*を)畏れる*者にとっては、来世の住まいがより善いのだ。一体あなた方は、弁えないのか?

啓典を固守し(それに則って行い)、礼拝を遵守*した者たち、本当にわれら*は改善者たちの褒美を、無駄にはしない。

また、われら*が山を彼ら(イスラーイールの子ら*)の上方に、まるで覆いかぶさる雲のように掲げ、彼らがそれが自分たちの上に落下してくるものと確信した時のこと(を思い起こさせよ)[1]。(その時、われら*は言った。)「われら*があなた方に授けたものを、真摯に受け取る[2]がよい。そして(われら*を)畏れる*べく、その内容を心に刻み込むのだ」。

そして(使徒*よ、)あなたの主*が、アーダム*の子らの後背部から彼らの子孫を取り出し、彼ら自身に対して(こう)証言させた時のこと(を思い起こさせよ。われらは言った)。「一体われは、あなた方の主*ではないのか?」彼らは言った。「その通りです。私たちは証言しました」。(それは、)あなた方が復活の日*に「本当に私たちは、これに対して無頓着な者だったのです」などと言わないようにするためである。[1]

あるいは、あなた方が「私たちのご先祖様こそが以前に(確約を破って)シルク*を犯したのであり、私たちは彼ら(に従っていただけ)の後の子孫なのです。なのに、あなたは(シルク*によって自らの行いを)無駄にする者たちがしたことゆえに、私たちを滅ぼされるのですか?」などと言わないようにするためである。

そのようにわれら*は、御徴を詳らかにするのだ。(それは、不信仰者*たちがそれを熟慮し、)彼らが(われら*に悔悟して、)立ち返るようにするためである。

(使徒*よ、)われら*がわれら*の御徴を授けたものの、それを放棄し、シャイターン*に従わせられ、それで(不信仰へと)逸脱した者の類いとなった者の消息[1]を、彼ら(あなたの民)に語って聞かせるがいい。

そして、もしわれら*が望んだのであれば、われら*はそれ(御徴)で彼(の位)を上げてやっただろう。だが彼は(現世という)地にしがみつき、自分の欲望に従ったのだ。それで彼の様子は、犬の様子のようである。あなたがそれを追い立てても舌を出して喘いでいるし、放ったらかしにしても舌を出して喘いでいる[1]。それは、われら*の御徴を嘘呼ばわりした民の様子のこと。ならば彼らが熟考するように、その物語を語って聞かせるのだ。

われら*の御徴を嘘呼ばわりした民の様子の、何と忌まわしいことか。彼らは自分自身に、不正*を働いていたのである。

誰であろうとアッラー*がお導きになった者、それが導かれた者なのだ。そして誰であろうと、かれが迷わせ給うた者、それらの者たちこそは損失者なのである。

われら*は確かに、多くのジン*と人間を地獄のために創った。彼らには理解することのない心があり、見ることのない眼があり、聞くことのない耳がある[1]。それらの者たちは家畜のよう。いや、彼らは(それら)よりひどく迷っている。それらの者たちこそは、(信仰に)無頓着な者たちなのだ。

アッラー*にこそ、美名は属する[1]。ならば、それによってかれに祈願するのだ。そして、かれの美名において(真理から)逸脱する者[2]たちは、放っておくがいい。彼らはいずれ、自分たちが行っていた(悪)事の応報を受けることになるのだから。

われら*はが創ったものの内には真理によって導き、それによって正義を行う共同体がる。

また、われら*の御徴を嘘呼ばわりした者たち、われら*は彼らを、彼らが知らない所から徐々に(破滅へと)導いて行こう。[1]

そしてわれら*は彼らに、猶予を与えておくのだ。本当にわが策略[1]は、手堅いのだから。

一体、彼らは熟考しなかったのか?彼らの仲間(ムハンマド*)には、憑き物など憑いてはいない[1]。彼は明白なる警告者に外ならないのだ。

また、一体彼らは、諸天と大地の絶対なる王権と、(そこに)アッラー*がお創りになったものを見ないのか?そして彼らの(死の)期限が、確かに迫ってしまったかもしれないことを?ならば、それ(クルアーン*の警告)を差しおいて、彼らは一体いかなる話を信じるというのか?

誰であろうとアッラー*が迷わせ給うた者、彼にはいかなる導き手もない。かれは、彼らが彷徨うまま、そのひどい放埓さの中に彼らを放ったらかしにされる。

(使徒*よ、)彼ら(マッカ*の不信仰者*)は復活の日*について、その到来がいつなのか、あなたに尋ねる。言ってやるがいい。「その知識は、我が主*の御許にこそある。その(到来する)時期にそれを露わにされるのは、かれのみなのだ。それは諸天と大地(の住人たち)に重い[1]。それは突然にしか、あなた方のもとにやって来ることがないのだ」。彼らはまるで、あなたがそれ(を知ること)に躍起な者[2]であるかのように、あなたに尋ねる。言ってやれ。「その知識は、アッラー*の御許にこそある。しかし人々の大半は、(そのことが)分からないのだ」。

(使徒*よ、)言うがよい。「私は自分自身に対し、アッラー*がお望みになったものの外、益(する力)も害(する力)も有してはいない。そして、もし私が不可視の世界*を知っていたら、善いことを増や(すことばかり)しただろうし、私に悪が降りかかることもなかっただろう[1]。私は、信仰する民に警告を告げる者、吉報を伝える者[2]に過ぎないのである」。

かれ(アッラー*)はあなた方を一人の者(アーダム*)からお創りになり、彼がそこへと安らぐべく、彼自身からその妻(ハウワーゥ*)を創造されたお方。彼が彼女[1]に覆いかぶさった時[2]、彼女は軽い荷[3]を宿し、それを身ごもり続けた。そして(お腹が)重くなった時、二人は彼らの主*アッラー*に(こう)祈ったのだ。「もしも、あなたが私たちに正しい者[4]をお授け下さったならば、私たちは必ずや感謝する者となりましょう」。

そして、かれが二人に正しい者を授けられた時、彼らはかれが自分たちに授けて下さったものにおいて、かれに(かれの崇拝*における)同位者たちを設けた[1]。かれは、彼らが(アッラー*の崇拝*において)シルク*を犯しているものから(無縁で)、遥か高遠なお方であられる。

一体彼らは、それら(自身)が創られるものであって、何一つ創造することもないようなものを、(崇拝*においてアッラー*と)並べるというのか?

それからは彼らへの援助も出来ないどころか、自分自身すら救えないというのに。

そして(シルクの徒よ、)もしあなた方がそれら(アッラー*の崇拝において同位者としているもの)を導きへと招いたところで、それらがあなた方に従うことはない。あなた方がそれらを招こうが、沈黙していようが、あなた方にとっては同じことなのである。

本当に、あなた方がアッラー*を差しおいて祈っているものは、あなた方同様(アッラー*)の僕たちなのだ。ならば、それらを呼び、あなた方に応えさせてみるがいい。もし、あなた方が本当のことを言っているのならば。

一体それらには、歩く足があるというのか?いや、一体それらには、制する手があるというのか?いや、一体それらには、見る(ことの出来る)眼があるというのか?いや、一体それらには、聞く(ことの出来る)耳があるのか?(使徒*よ、)言ってやるのだ。「あなた方(がアッラー*)の同位者(としているもの)たちに、祈るがいい。それから私に対して(災いが降りかかるよう)、策謀してみよ。私には、猶予を与えてくれなくてもいい。

本当に私の庇護者*は、啓典(クルアーン*)を下されたアッラー*なのだから。かれは、正しい者*たちを庇護して下さる。

そして(シルク*の徒よ、)、あなた方がかれを差しおいて祈っている者たちは、あなた方を援助できず、自分自身すら救えない。

また、もしあなた方がそれらを導きへと招こうとも、それらは聞きはしない。そして(使徒*よ、)あなたは、それらが自分の方を見ていると思うだけ。それらは、見てなどいないのだが。

(預言者*よ、)あなた[1]は雅量を身につけ、善事[2]を命じ、無知な者たち(との争い)から遠ざかれ。

そして、もしシャイターン*からの一突きがあなたを突くようなことがあれば[1]、アッラー*にご加護を乞うのだ。かれこそはよくお聴きになられるお方、全知者であられるのだから。

本当に(アッラー*を)畏れる*者たちとは、シャイターン*の内の徘徊者が自分たちに触れた時、(アッラー*への服従と悔悟の義務を)思い出すのである。するとどうであろう、彼らは開眼した者となるのだ[1]。

そして、彼ら(ジン*のシャイターン*)の同胞(である、人間のシャイターン*)。彼ら(ジン*のシャイターン*)は、逸脱において彼ら「人間のシャイターン*)を助長するのであり、抜かりがない[1]。

また(使徒*よ)、あなたが彼ら(シルク*の徒)に御徴を持って来なければ、彼らは言う。「どうして、それを選ばないのか?[1]」言ってやるのだ。「私は、我が主*から啓示されるものに従っているだけ。これ(クルアーン*)はあなた方の主*からの開眼[2]、導き、信仰する民へのご慈悲なのだ」。

クルアーン*が読まれたら、あなた方が慈しまれるよう、それに耳を傾け、傾聴せよ。

また(使徒*よ、)朝に夕に自分の内で[1]、謹んで怖れながら、声を上げ(過ぎ)ることなく、あなたの主*を念じるのだ。そして、(アッラー*の唱念に)無頓着な者の類いであってはならない。

本当にあなたの主*の御許に侍る者たち[1]は、かれを崇拝*することにおいて奢り高ぶることなく、かれを称え*、かれのみにサジダ*するのだ。